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法に向き合うプロダクトマネジメント

これは hey Advent Calendar 10日目の記事です。

これはなにか

hey で STORES のプロダクトマネージャー をしている濱村です。

プロダクトを運営しているとしばしば法律に出くわすことがあります。そんなときみなさんはどうされていますか?

STORES のようなECプラットフォームだと、さっと思いつくだけでも、特定商取引法・割賦販売法・個人情報保護法・消費増税法・景品表示法などがあります。

これらの法律とうまく付き合いながら、ユーザーの方々に快適にプロダクトを使っていただくにはどうすればよいか。このイシューに向き合ってきました。

クリティカルな対応が求められるように

最近のケースとして、個人情報保護法があります。

「上場企業の個人情報漏えい・紛失事故」調査(2020年)によると、個人情報に関する事故件数は前年比2割増で7年ぶりに100件超え、社数別では調査開始以来最多となりました。

たびたび見かける個人情報漏洩のニュースは、珍しいものではなくなってきたのではないかと思います。

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このようなことを鑑みて、令和4年4月1日より令和2年個人情報保護法改正が予定されています。

この改正では、開示請求などの個人の権利のあり方や、漏洩などを起こした際の事業者側の責務、一方でイノベーションを促進するための個人データの利活用についてのアップデートが行われます。
https://www.ppc.go.jp/files/pdf/200612_gaiyou.pdf

個人情報保護における判断ミスは、ときにプロダクトの成長を止める要因にもなりえます。こういったクリティカルな課題にどのように対応していけば良いのでしょうか。

法律は苦手だが、ユーザーには責任を果たさなくてはならない

まず僕は法律、というか難しい文章がかなり苦手です。

法律のバックグラウンドがなく、法律系のドキュメントを読んでいるとよく目が滑ります。(夜に法律系の仕事をするのはお勧めしません... 💤 )

とはいえ、法律が得意分野ではないからといって、回避することはできません。

なぜならユーザーは利用するプロダクトが当然法律が遵守されるものだと思っているからです。

何度も言っていますが、プラットフォームとしては信用が第一で、それが発展の源です。

これは実際にユーザーの方にいただいた声で、まさにその通りだ・・と思ったことです。

法律は時として難解なことがありますが、そのままの複雑さをユーザーに伝えることはナンセンスです。

信頼されるプロダクトであり続けるためには、法律の中でも本当に抑えるべき要点をシャープにして、ユーザーにわかりやすく伝えていくことが必要だと考えています。

徹底的に知識をインプットする

まずは何にしても知識が必要です。

法律対応が必要だと分かった時は、弁護士ドットコムで調べたり、関連書籍を読んだりします。

インターネットビジネスであればこの本がわかりやすかったのでお勧めです。

有識者とディスカッションする

会社にはだいたい顧問弁護士の方がいらっしゃると思うので、先生方のディスカッションの中から、正しい法律解釈を身につけていくことができます。

そして、heyにはありがたくも法務の方がいらっしゃり、heyの事情も知りながら法律にも詳しいスペシャリストに相談することができます。

1人だとなかなか理解するのが難しいのですが、弁護士の先生方や法務の方とともに、難解な法律の理解を深めていくことができます。

社内勉強会を主催する

また、社内勉強会を主催することもおすすめです。

知識を得て弁護士の先生方とディスカッションをすると、社内の中ではかなり法律理解のある部類に入ってきます。

得た知識を社内にアウトプットすれば、その学びは何倍の意味を持つことになります。

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これは過去に改正割賦販売法について勉強会を行ったときの資料です。

ただ法律改正に伴ってやるべきことを伝えるだけでなく、当時の社会情勢も踏まえて法律の成り立ちから話していくことを意識しました。

実際にこのような勉強会が社内に増えたことで、カスタマーサポートでより丁寧な案内をできたりデザイナーやエンジニアが実装に配慮できたりすることができていると感じます。

ユーザーに「審査が必要なのでやってください」と伝えたところで、理由がわからないために、なかなかユーザーは動いてくれません。

ユーザーに「なぜ審査が必要なのか」、このWHYに納得していただく回答ができるよう、僕たちプロダクトを作る側としては深い理解をしていくことを心がけていければと思います。

ユーザーの声を届けていく

今年10月には、以下のような発表がありました。

クリエイターエコノミー協会(以下、本協会)は、消費者庁、経済産業省や議員のみなさんと協議を重ねた結果、プラットフォームが一定の条件を満たせば、その利用者は「特定商取引法に基づく表記」においてプラットフォームの住所や電話番号を記載する運用で問題がないとする見解を消費者庁から受けましたので、ご報告いたします。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000003.000082387.html

以前からユーザーの方々より、「特定商取引法に基づく表記」に個人情報を記載すると、購入者からの連絡だけでなく、営業電話などがきて困っている、という問い合わせを受けていました。

僕たちはそれを法律上やむを得ず心苦しい思いではありましたが、この発表はその常識を覆すものであり、とても驚きました。

ただ法律を遵守するだけでなく、ユーザーの方々の声を法律に届けていく役割もあるのだ、と認識した瞬間でした。

インターネットビジネスはまだまだ発展途上であり、個人で活躍される方も徐々に増えてきました。「個人でもあっても好きだと思うことを実現できる」、これを支援するプロダクトであるのは STORES の使命だと思います。

これから様々な法的整備が行われたときでも、正しい知識と適切な解釈をもって、ユーザーの方々に信頼されるプロダクトを作り続けていきたいと思います。

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