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宅建士【権利関係】 制限行為能力者01

過去10年間の出題分析
制限能力者制度、意思表示の規定については、ここ10年間はほぼ毎年出題されているので、この分野は確実に1点取る必要がある。

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分析表のようにこの分野では、契約が有効、無効、取消しのどれになるのか、またそれらが第三者に主張できるのか否かが鍵を握っている。

考え方のポイント💡

1. 契約の意思表示が有効か、無効か、または取消しができるのか?

2.  無効主張、取消し主張が第三者にできるのか?

3. 無効主張、取消しはいつまでできるのか?   

3つのポイントを確実に抑えておく必要がある。

制限行為能力者の流れ

1.  制限行為能力者には「未成年者」「成年被後見人」「被保佐人」「補助人」がいる。

2.  その制限行為能力者が契約したら、無効ではなく取り消すことができる。

3. 各制限行為能力者が単独で出来ること、出来ないことそれぞれ異なる。

4.  第三者に対抗できる要件は、制限行為能力者と取引した相手の立場は?

①第三者の対抗要件

②催告権

③取消権の喪失

④法定追認 

⑤取消権の時効

このような流れで制限能力者を学習していきます。

基本的な考え

私たちが売買契約をして商品を買う場合、物を引き取る代わりにお金を支払うが、これを法律的に説明すると、商品を買った人は物を引き渡してくださいという権利と、お金を支払わなければ成らない義務が生じ、これに対して、商品を売った人はその逆の権利と義務が生じる。また、その結果、その人が損しようが、得しようが自分で責任をとるように定められている。これを自己責任の原則という。これは、各人がする行為について損得を判断する能力があるからである。しかし、もしこの能力の無い人にでも、この責任を負わせたら、どうなるだろうか!おそらく弱肉強食の世の中において、餌食にされてしまうのは歴然である。簡単にいえば、物を安く売らされたり、高く買わされたりしてもこの自己責任の原則に従えば文句が言えないようになるわけである。この問題を解決しようとしているのが、制限能力者制度であることを知っておこう。

制度の趣旨  制限能力者制度の趣旨は弱者を保護するために設けられた制度といえる。

要点  各々の制限能力者は、どのような場合に取消しができるのか?

1.制限行為能力者の種類

制限行為能力者とは、自分一人では法律行為が出来ない人のことをいう。つまり契約を一人でする行為能力が不充分な人が制限行為能力者である。それでは、制限行為能力者には、どのような種類があるか?

用語:行為能力 単独で完全な有効な法律行為を行うことが出来る能力のことをいいます。 

 法律行為とは 法律上の効果を発生させる行為のことで、契約(例:売買契約、遺贈)などをいう。

(1)制限行為能力者には、次の4種類がある

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制限能力者が単独で行った法律行為は原則として無効でなく、取消すことができるとしているが、その制限は1~4の能力の度合いに従って保護の方法が違ってくる。

🚨重要

無効  はじめから、全く何の効力も生じない!何も言わなかったのと同じ事。

取消し  取消されるまでは一応有効だが、取消されると始めから無効だった事になる 

2.未成年者

(1)未成年者とは
現行(2022年3月31日時点)では、未成年者は満20歳未満の者をいう。なお、民法では男は満18歳、女は満16歳になれば父母又はどちらかの一方の同意があれば婚姻する事が出来るとなっていたが、2022年4月1日施行より男女とも成人年齢が20歳から18歳に引き下げられることから、女性が婚姻できる年齢が18歳に引き上げられるので、改正後、18歳以上は成人なので男女とも親の同意がなくても婚姻できるようになる。

(2)保護者とは
未成年者の保護者といったら誰であろうか? それは当然、親である。親の事を民法では親権者と言っている。しかし、世の中には、親のいない子供もいる。また、いても管理能力のない親もいる。そう言う場合は、未成年後見人という保護者がつけられることになっている。(※未成年後見人は2人以上つけることも出来る。また法人を未成年後継人とする事も出来る。) そして、親権者や未成年後見人のことを法定代理人という。

用 語 :法定代理人 本人の意思によらないで法律に基づいて定める代理人のこと。

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試験にここが出た💡未成年後見人

後で述べる成年後見人は必ず家庭裁判所が選任することになっているが、未成年後見に関しては、未成年者に対して最後に親権を行う者は、遺言で未成年後見人を指定できるとしており、それでも未成年後見にとなるべき人がいない場合は、未成年被後見人(本人)又はその親族又はその他の利害関係人の請求によって家庭裁判所が選任することになっている。

3.保護者(法定代理人)の4つの権限

未成年者のために、保護者にはどのような権限があるのであろうか?その保護者には、取消権、同意権、追認権、代理権の 4 つの権限を行使することができる。

(1)取消権
未成年者は、大人と比べると判断能力が不十分なので、自分ひとりで契約をすると不利な契約をしてしまう恐れがある。そこで、未成年者が自分一人で行った契約は、自由に取消す事が出来ることになっている。(第 5 条)

🚨重要

誰が取消せるのか? 未成年者自身も取消す事が出来る、法定代理人も取消す事が出来る。取消権は本人法定代理人にある。

(2)同意権
未成年者が自分一人の判断で契約をすると不利な契約をしてしまう恐れがあるが、法定代理人の同意を得た上で契約をすれば、そのような心配はいらない。よって、未成年者が法定代理人の同意を得て行った契約は完全に有効で取消せない!この同意を与えることを同意権という。

(3)追認権
未成年者が法定代理人の同意を得ないで自分一人で行った契約であっても、未成年者にとって有利な場合もある。そう言う場合には、法定代理人が追認すると、始めから同意が与えられていた事に成る。

🚨重要

用語:追認 事後承諾の事。追認すると、取消し得る契約の最初から完全に有効だったことが確定する。

👿注意

試験で出題されるところ

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(4)代理権
保護者には未成年者に代わって契約することができる権利を有す。また未成年者の保護者の代理権は当然にあるとし法定代理人でもある。

(5)未成年者のまとめ
原則として未成年者は、単独で契約をすることは出来ない。仮に未成年者が単独で契約したとしても、その相手方は契約を取り消されるおそれがある。どうしても決定的に契約をしたければ法定代理人の同意か又は追認かもしくは代理が必要ということになる!!

※単独で契約をすると!?
未成年者が法定代理人の同意なしに自分一人で勝手にやった契約は取消せるということになる!この場合、未成年者が単独で契約を取り消す場合は、法定代理人の同意は必要ありません。なぜなら、未成年者には取消権があるからです。

(6)取消し権の例外
しかし、これには取り消せ得ない例外が法によって幾つか設けられている!!

🚨重要

例外1 ①と②は、法定代理人の同意がなくても未成年者が自分一人で自由に行う事が出来て、取消せない(第 5 条 1 項ただし書)。
①権利を得るだけの契約
(例)ただでものをもらう契約など
②義務を免れる契約
(例)借金を棒引きにしてもらう契約など

例外2 法定代理人から処分を許された財産 学資や小遣い等は、いちいち法定代理人の同意を得なくても未成年者が自分一人で自由に処分することができ、取消せない!(第 5 条 3 項)

例外3 法定代理人から営業を行うことを許可された場合営業に関する契約は、いちいち法定代理人の同意を得なくても未成年者が自分一人で自由に契約することができる。この場合も、取消せない!(第 6 条)

🧠覚える
結果的に、未成年者は同意無しに行った「損する契約」だけ取消すことができる。

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