社内報

 自社の社内報を破っている。30ページ程度の中綴じ冊子で定期的に家に届く。冊子を開くと、上役のお言葉から社員の子供の写真まで載っている。自分には縁遠い世界の出来事のように感じられる。そして、いつも社内報の処分に困っている。ホッチキスの芯を外して、一枚一枚バラしていく。知らない社員の子供の顔、誰かの嬉しいニュース。ハサミを入れて裁断していく。他の社員はどのように処分しているのだろうか。

 「年次が上がり、立場も変わっていくのだから、顧客の対応だけでなく、社内の活動にも力を入れていきましょう」と上司は言う。組織への貢献を考えると、その通りであるが、どうにも興味が湧かない。社内活動は、部署内でテキトーにグループ分けをされて、役立ちそうな知識を各々調査して、毎年似たような調査内容を社内に発表することが多い。忙しさを理由に参加しない方が多く、最終的にはいつも同じ人が作業している。活動の内容、形式、メンバーのどれに不満があるのか私自身まだ整理ができていない。真正面から勝負することが苦手、あるいは決められた方法で作業することが苦手なのかもしれない。上司には「そうですね」と返事をする。いつも。

 社内報の処分が終わった。社員がそれをどうやって処分するかまで社内報の作成者は考えているのだろうか。考えてないような気がした。アウトプットに対してどこまで責任を持てば良いのだろうか。ある程度は無責任で良いのだろうか。



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