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【表現評論】スマイルプリキュア! コアレビュー Part 7 第37-42話

第37話 れいかの悩み!清き心と清き一票!

中学校の生徒会長に何を求めるのか。ふつうの中学生は勉強したくないし、掃除もしたくない。遊びたいしお菓子を食べたい。れいかは生徒会副会長として活動してきたが、生徒会長として生徒たちに示すべき道が見つからないといい、生徒会長選挙への出馬に前向きではなかった。そこに人間に擬態した敵が現れ、宿題をなくすとか、お菓子食べ放題とかいう公約をもってくる。れいかはそれらが自分の「道」に反すると考えるが、それを生徒たちになかなか納得してもらえない。理念としてはわかるが、具体的にどのような道であるのかを示すことができていないのである。

敵との戦闘を通じて、れいかは道を示すことに覚悟を決める。みなにとって直感的にうれしいと思えないようなものであれば、進むべき道を何度も説明しなければわかってもらえない。れいかの今後に期待である。

第38話 ハッスルなお!プリキュアがコドモニナ~ル!?

分類としてはなお回だが、実際は紳士のためのロリ回。神とさせてください。
空から降ってきた謎の液体によって体が小さくなったみゆきたちは、どうせ敵のしわざだろうと考え、もとに戻るべく周囲を探検する。戦闘前の変身シーンはロリ仕様だ。

かわいい
かわいい

ふだんは変身シーンは使いまわしができるのに、このような特殊回のためにイチから作画する(もちろんロリ声にするために録音もしなおす)労力に感謝申し上げます。戦闘は子どもらしさを全開にしたもので、おにごっこで敵を疲れさせてから攻撃するというものだ。スピード感は他の回と比較すると失われているが、この回独特で面白い。スマプリ全体を通してもトップ3に入る回なのではないか。

第39話 どうなっちゃうの!?みゆきのはちゃめちゃシンデレラ!!

絵本が大好きなみゆきが、メルヘンランドに伝わる絵本の中に入ってしまい、無事にシンデレラのストーリーを成し遂げることになる回。絵本の中で繰り広げられる話だから、悪の皇帝ピエーロを復活させるためのバッドエナジーを回収するくだりはない。
敵の妨害にあいつつも、シンデレラ役のみゆきと王子様役のれいかがなんとか舞踏会でダンスするところまでこぎつける。お話のとおりにガラスの靴をお城に置いていこうとするも、そのガラスの靴が敵に変身してしまう。なんとか24時までに家に帰らないといけないのに、敵は逃げてばかりでシンデレラのストーリーを破壊しようとする。キャンディの助けのおかげで特大のハッピーシャワーをお見舞いし、ギリギリ間に合う。しかし、ハッピーシャワーのエネルギーが大きすぎてそのまま家に吹き飛ばされ、運よく24時までに帰るというミッションもクリアする。
最後にガラスの靴を履くという仕事も終え、みゆきたちは元の世界に戻ることができた。もともとのシンデレラの話とはだいぶ異なるものになってしまったが、ハッピーエンドならいいよね?

第40話 熱血!あかねの宝さがし人生!!

ここからの5話は、最終決戦前の5人の主役回がつづく。スマプリの中でも重要である。
学校で「私の宝物」について作文を書くことになった。宝物ってなんだろう。スポーツとしてバレーボールは好きだけど、かといってボールが宝物ではない。おうちのお好み焼き屋さんの手伝いも楽しいけど、コテが宝物とはいえない。あかねは宝物が何なのか考え続ける。

バレーボールの試合に向かうあかねのもとをウルフルンが襲う。久しぶりの一対一の勝負、ソロの変身シーンだ。猛攻に苦しめられ、試合の応援のためにみゆきたちにもらったお守りを破壊されたサニーは倒れこんでしまう。そのとき、サニーには自分の宝物がなんなのかはっきりと見えた。ボール?コテ?お守り?そういうものではない。友達こそが宝物なのだ。そう確信したサニーには力がみなぎり、パワーアップした必殺技、サニーファイヤーバーニングで敵を追い込み、かけつけたハッピーたちとともに敵を浄化する。探し物は見つけにくいものだし、宝物も見つけにくい。かばんの中を探したって出てこない。

第41話 私がマンガ家!?やよいがえがく将来の夢!!

小さなころから泣き虫で、お絵かきが好きだったやよい。中学生となったいまも絵を描き続けていて、自作のスーパーヒロイン「ミラクルピース」が活躍するマンガを描こうと奮起する。
がんばってマンガを描きながら寝てしまい、起きたときにインクを原稿にこぼしてしまった。ショックで泣き出し、たまらずインクだらけの原稿を持って家を飛び出すやよい。もうあきらめようかとゴミ箱に原稿を捨てようとした瞬間、アカオーニに戦いを挑まれる。ピース一人では歯が立たない。でも心には自分のあこがれの姿、ミラクルピースがいる。それを思い出したピースに力がみなぎる。必殺技、ピースサンダーハリケーンで敵を吹き飛ばしてから、みんなの力を借りて敵を浄化した。自分でやり遂げることも重要だし、みんなの力を借りることだって重要だ。やよいはスマプリの主要キャラのなかでは最もふつうの子どもに近いと考えているが、やよい回はそれを観ているふつうの子どもたちに見せる成長物語としては完璧といえるだろう。

りりしいピース

第42話 守りぬけ!なおと家族のたいせつな絆!!

第42話は、リアルタイムで朝に観るには話がやや重い。
緑川家の長女であるなおは、6人きょうだいの最年長だ。なんとそこに7人めが生まれることになり、なおの両親は病院へ向かう。なおはきょうだいの面倒をみて両親の力になろうとする。
みんな大好きなカレーを作ろう。ジャガイモ、にんじん、お肉……あれ、隠し味のリンゴを買い忘れてしまった。なおが困っているところ、きょうだいの二人がなおに黙ってリンゴを買いに商店街に向かった。二人がいないことに気づいたなおは慌てて捜索する。

なおが捜索していると、リンゴをエサにきょうだい二人を捕まえたマジョリーナがいることに気がつく。マジョリーナはなおの家族想いを逆手にとり、きょうだいたちを攻撃し、マーチは防戦一方だ。家族が傷つくことは許せない。直球勝負で自分に攻撃を仕掛ければいいのに。想いが高まったとき、マーチに力が湧いてくる。必殺技、マーチシュートインパクトとロイヤルレインボーバーストでマジョリーナを撃退したマーチたち。無事にきょうだいを助け、7人めの妹、ゆいの出産に安堵する。

ひとりっ子が第42話を観ても、なおがきょうだいのために奮闘する姿に感動する一方で、きょうだいが攻撃されることに対するなおの絶望的な表情には怖さを覚えるかもしれない。意図的に教育的なテーマをアニメに盛り込んだわけではないと思うが、受け取る側は知らず知らずにその価値観を受け取る。個人の自由などが優先される現代において、私は家族愛を称揚する第42話を高く評価する。

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