マガジンのカバー画像

写真を読む日々

8
いろんな写真集を読んでみて、その感想文のようなもの。
運営しているクリエイター

記事一覧

写真を読む日々#8

写真家 小林紀晴氏を知ったのは、なんとなく街をぶらぶら歩いていたある冬の日だった。ちょうど京都写真美術館の2階で写真展があったのだ。無料だったので、何気なしに鑑賞しに行って、彼のアジアをうつした写真に、アジアの空気感をうつした写真に、その撮影地に居合わせたいと強く思った。 そんな彼の写真にグッと心を掴まれたのを覚えている。 それから著者の作品をよりみてみたいと思った。 小林紀晴「最後の夏 1911」 23歳の小林紀晴氏が、会社を辞めアジア放浪にでるまでの2ヶ月の間に撮りため

写真を読む日々#7

またボチボチと読んでみた写真集の記録。 あまり中身のあることは書けていない。 と思うと、なんでもかんでも評論の文章をかける人はすごい。 印象に残ったのは小島一郎の写真集。 青森なんて遠い土地だから、訪れたい思いがあってもなかなか足が届かない。そんな憧れを少し増長させてくれたような気がする。 小島一郎「小島一郎写真集成」小島一郎、青森で生まれて青森を中心に写真を発表していた写真家。 戦後の近代化から取り残された青森の田舎をうつした写真集。 現在、写真にあるような風景を垣間見

写真を読む日々#6

乱読の続き。また図書館に行こう。 横尾忠則「東京Y字路」 街で見かけるY字路を集めた写真集。著者は、芸術家でY字路の絵を書いていたが興味が絵を飛び出して、現実の世界へ向かった。 東京の中心から郊外まで足を伸ばしY字路を撮影している。 Y字路はなぜ出来るのか、心理的にどう感じるのか、といったことを前書きで解説していて読み応えがある。 瞬間的一瞬を捉えるのではなく、日常的瞬間としてY字路を捉えており、記録集のような、哲学書のような、不思議な写真集だと感じた。 中筋純「流転

写真を読む日々#5

いろいろと前に進むために、一人暮らし先に戻り、物事を整理している。 時間があるときに大学図書館にいっては、写真集を手にとって読んでいる。 大学図書館は様々な本が充実していてとても良い。 また雑多に読んだものを振り返る。 小泉定弘「小泉定弘短編写真集 time&space」東京都内やその近郊の風土や身近な風景を撮り続けている写真家らしい。 モノクロ写真中心で、スカイツリー建築前後(1991年と2011年)の周辺風景やビル建築の定点観測のような写真から、写真の記録性や過去性を強

写真を読む日々#4

写真集を乱読メモの続き。完全に、私的な記録。 市立、県立図書館に通ってたけど、コロナウイルスの影響で閉館になった。 なので、国立国会図書館に行きはじめた。けれど、海外の写真集はなかなか置いていない印象だった。探し方が悪いのかな? 尾仲浩二の写真は写真展でみて、すごく好みだったのでいくつか写真集を見てみたけど、やっぱり好み。 川島小鳥「明星」台湾にて、若い男女の姿を写しとった写真集。 子供から大人になる一瞬のはざまの間での、少年少女の微妙な心の揺れ動きを感じ取れるような、そ

写真を読む日々#3

写真集を乱読メモの続き。 市立、県立図書館に通って借りて返してを繰り返している。 そのうち、国立国会図書館に行こう。 新倉孝雄「SAFETY-ZONE 1961-1991」、武田花「眠そうな町」が好みな写真集だった。 新倉孝雄「SAFETY-ZONE 1961-1991」 こういった写真をコンポラ写真というらしい。 写真にうつっているものは何かよくわからないけど何か気になる、そういった具合の写真をコンポラ写真というのだそうだ。 どうもコンポラ写真のことはまだよくわかっていな

写真を読む日々#2

写真集の乱読メモの続き。 椎名誠「椎名誠写真館」アサヒカメラに掲載されていた椎名誠の写真コラムをまとめた本。 日本や外国へ訪れたときの写真と一言メモ、写真が撮られたときの情景がわかって良い。写真にうつされている、それぞれの土地に住む人々の自然な表情が心地が良い。 1つのテーマに絞られた他の写真集も読んでみよう。 藤原新也「アメリカンルーレット」著者がアメリカを旅して、そのときの情景を写真集にまとめたもの。 手ブレした荒々しいモノクロ写真があるかと思えば、ハイキーで淡い海

写真を読む日々

写真が好きでぷらぷら出かけては撮る日々。 そんな中、写真美術館や展示会に行ってみたり、写真集を乱読していたりする。最近、読んだの以下の通りだが、読んだときのあれこれを忘れないようにしたい。 木村伊兵衛「昭和の女たち」戦後の景色が残る写真から、徐々に現代に近づいていく時代の変化がうつされていた。スナップショットには着物と洋服を来ている人が混在して不思議だ。特にブルゾンに下駄を履いた男性がうつっている写真から、昭和の過渡期だと感じさせられる。 第4章「秋田の女たち」は印象的で