命のリスクの比較考量の視点ー京都市、週明けの4月6日(月)より随時、教育活動を再開とのこと(4月10日より再休校へ)

[追記(4/6):京都市より、4月10日から再休校にするとの発表がありました。それでも、以下の文章の趣旨にブレはありません。休校中の子どもたち、各家庭への目配せや支援がより一層になります。 ]

いろいろ意見あると思いますが、ぼくとしては今のところ、子どもたちの教育の保障と、現在の地域の感染状況(「感染確認地域」)の認識、そして開校の際の「感染防止対策」(以下に引用)を踏まえた、丁寧な再開決定と思います。
https://www.city.kyoto.lg.jp/kyoiku/page/0000267996.html

(なお、ぼくは、今年度から小学校2年生と保育園2歳児クラスに入る息子と娘をもちつつ、障害者の地域自立生活を支える介護の仕事についています。妻は、市内の総合病院の看護師です。)

感染防止対策についての京都市の対応が、学校だけではなく、各家庭、各職場、各飲食店、各小売店、各公共交通機関等に浸透していくことは、今とても大事に思います。
単に休校にして、子どもたちを家庭や学童に預ける、あるいは放置状態にまかせるだけよりも、教育活動を通して感染症対策を各家庭等により一層浸透させていくという側面もあると思います。

一律休校は、親密な間柄での虐待やネグレクト、保護者不在の中でのきょうだい間や団地等における交友関係の間でのいじめや事故などにつながるリスクも大きいです。

また、子どもの命を守るために一律休校を、というなら、今は行われている保育や学童の停止も同時に求めていかないといけません。その際、たとえば医療や介護をはじめとしたライフラインの仕事につく保護者たちの多くも仕事を休まないといけなくなります。医療や介護を必要とする人たちの命のリスクは当然上昇します。ライフラインが脆弱になれば、生活に余裕がある人は生き延びられますが、日常的にぎりぎりのところで生活している人たちの命は危険に脅かされます。

それらのリスクの総数を上回るほどに感染拡大による全体的リスクが高いと想定される場合は、休校措置もやむなしと思います。

再開決定に対して、「信じられない」「延期を求める」などの声もあがっています。けれども、一律休校によるメリット・デメリット、感染防止対策の中での教育再開のメリット・デメリットを丁寧に比較しつつ論じた上での声は少ないように思います。
今求められるのは、それらのメリット・デメリットを比較考量しつつ、判断していく視点です。新型コロナ対策だけが唯一の価値になってはいけないと思います。

なお、京都市は、状況に大きな変化が生じた場合、臨時休業の実施等の対応をとると言っています。新型コロナは潜伏期間等が長いため、それではすでに遅い、そのときはすでに爆発的に感染拡大しているかもしれない、だから今一律休校の継続を、という意見もあって、それはもちろんもっともだと思います。医療・介護職の人々、及びその家族が新型ウイルスに罹患したら、一定期間本人たちは当然仕事に入れなくなるし、その周囲の病院や介護事業所が閉鎖するおそれもあります。病者、障害者の命のリスクはその際も当然高まります。
だから、どちらが正しいかは、簡単には言えない問題です。
それぞれが、さまざまな側面から命のリスクを比較考量しつつ判断したり意見を表明していくほかないと思います。

新型コロナ対策に対してことの良し悪しを判断する際は、繰り返しになりますが、早急な結論や断定は避け(それぞれの分野の専門家が分野別に一定の結論や断定を提示することは必要としても)、さまざまな命のリスクを丁寧に比較考量しつつ、想定でもいいのでその考察を提示しながら、意見を表明していくことが今なにより大事なことではないかと思います。

以下、京都市の教育再開にあたっての確認事項

「再開に当たり感染防止対策を一層徹底」

(1)換気の悪い密閉空間,(2)多くの人の密集,(3)近距離・密接(互いに手を伸ばしたら届く距離)での会話や発声,の「3密条件」が同時に重なる場を徹底的に避けることを基本とし,次のとおり,更なる感染防止対策の徹底に取り組みます。

基本的な感染症対策の徹底
登校時,トイレ後,給食前,ロング休み後等で必ず手洗いするなど指導の一層の徹底をはじめ,こまめな手洗いや咳エチケットの徹底。
多くの児童生徒等が触れる場所(ドアノブ,手すり,スイッチ,共有する器具等)の消毒。
免疫力を高めるため,十分な睡眠,適度な運動やバランスの取れた食事を心がけるよう指導。

集団感染のリスクへの対応
休み時間毎に2方向の各1つずつ以上の窓や入口を開ける,教室等のこまめな換気を実施。
マスクの着用,手作りマスクの普及に向けた取組の実施。

対面,接触,発声等を伴う教育活動の更なる工夫
各教室の席は講義型(一斉授業の形態)として,座間もできる限りスペースを空けるなど配置を工夫。
話し合い活動やグループ活動等において,近距離での会話とならないよう,スペースを確保。
音楽科における歌唱指導や管楽器の演奏等では,間隔を空け,人がいる方向を向かない。また年間指導計画の中で単元の順序を入れ替えて実施。
家庭科(技術・家庭科)における調理などの実習は,年度当初に行わず,年間指導計画の中で単元の順序を入れ替えて実施。
体育科(保健体育科)において,できる限り個人や少数で実施し,児童生徒が密集せず距離を取って行うよう工夫。

などなど

(なお、京都市教育委員会の対策に抜け落ちているものがあります。
「コロナ」等の感染症に対する差別禁止、人権教育の視点です。
感染症対策を強化すれば、子どもたちの間で、感染者や感染を疑われる人(発熱、咳き込み、欠席)に対して、露骨な差別的言動やいじめがあらわれる恐れがあります。
感染はだれの身にもふりかかることであり、それを理由に差別やいじめがおこなわれることは決してあってはならないです。
そのことも、教員と子どもたちに周知してほしいです。)

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