二人の母

 結婚適齢期、もしくは結婚適齢期を過ぎた男性に対して、本人不在の場で、あの人は独身ですかと尋ねると、それは嫌味を含んだ要素があり、社会性がないとか、気配りができないとか、身だしなみがだらしないという印象を持ったときに、このように言うことが多いと思います。
 ちなみに、今、うっかり結婚適齢期と言いましたが、もしかしたら、それ自体が価値観を押しつける要素を含んだ言葉として、そのうち使わないようになるのでしょうか?
 いずれにせよ、誰かを紹介しようとする前提で、独身かどうかを聞かれていない場合は、その人に対しての否定的な気持ちが含まれています。
 反対に、おじいちゃん子、おばあちゃん子と言うと、何かしら褒める要素が強いときに使われる言葉のように思われます。難しい言葉や伝統行事をよく知っている、話したり書いたりする言葉に深いものを感じると言うように、年長者の叡智や教養を感じさせるというニュアンスでしょうか。
 私は自他共に認めるおばあちゃん子。八百屋で店番をしていた祖母と話している時間が長かった記憶があります。お客さんとも、よく話していました。
 この祖母、自分の息子、私から見たら叔父を幼い時に亡くしています。おそらく、私は祖母の孫兼息子。二人の母に育てられて、今の私がいます。

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