村上春樹さん著「羊をめぐる冒険」感想

田端信太郎さんの「これからの社会人の教科書」にこんなことが書いてあった。

”まずは、夏目漱石、司馬遼太郎、村上春樹、三島由紀夫。このあたりを全部読まなくてもいいのですが、一冊も読んだことがないとなると「さすがにどうなの?」と思われます。”と。

僕は”このあたり”を読んだことがなかった。じゃあ読もうじゃないかということで、早速僕はKindleでまずは村上春樹さんの本を検索し、「羊をめぐる冒険」と「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」を購入した。毎日通勤中の満員電車の中で「羊をめぐる冒険」を読んだ。そして先日、「羊をめぐる冒険」を読み終わったのでその感想を書きたいと思う。ちなみに僕は本当に村上春樹を読むのは初めてで、村上さんの本のあらすじや感想すら事前に読んだことはない。そのうえで素直に感じたことを書く。


まず、最初の方で感じたのは難しい表現をする方だなということだ。主人公の”僕”のセリフもそうだが、情景の説明が詳しすぎるのか自分には少々難解だった。

ん~硬い文章だなぁ・・・読みにくいなぁ・・・。と最初は思ってしまった。しかも状況がよくわからん。いきなり主人公と関係があっただろう人物の葬式から始まるし、その人物は後のストーリーに全然関係なかったし。(この作品が三部作だと読み終わった後に教えていただいた。おそらく、前の2作に出てきた人物でしょう。)しかも最初の方はクジラのペニスをやたら出してきたけれど、正直なにを表現したいのかよくわからなかった。

しかし、”奇妙な男”が出てきてから一気に面白くなった。なぜ昔の知り合いが送ってきた写真を差し止めしようとするのか。先生とは一体何者なのか。羊は一体何なのか。解決したいという思いがこみ上げてきて、いつの間にか”僕”に自分を重ねていた。

ここが村上春樹ヤバいな、と感じたところだ。主人公に名前がない、というか、文章に書かれていないので、第三者からの視点ではなく主人公の目線で読み進めてしまった。電車の中で読んでいたのだが、村上ワールドに取り込まれてしまって、何度乗り過ごすところだったかわからない。僕はまるでネバーエンディング・ストーリーのようになってしまっていたのだ。主人公の思考が現実世界の僕を侵食していた。村上ワールド、恐るべし。

僕の体感では”奇妙な男”が出てきてから、難解だと感じた表現がものすごく少なくなったと感じる。”僕”に自分を重ねられたからだろうか。

そんなこんなで読み終わったときに僕は”僕”とほとんど同じ気持ちになっていたと思う。全てが終わって色んな思いが混じって…。非常に切なく、儚く、そして面白かった。村上春樹が人気な理由が分かった気がする。「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」も読んでいきたいと思う。

田端さんの本がきっかけで村上春樹を読むことになったわけだが、田端さんは僕に本当にいい機会をくれている。他にも博物館に行きたいのだが、昨今のコロナウイルスの影響で軒並み閉館している状態なので騒動が収まってからになりそうだ。

田端さんの本に書いてあったことを実践してみた。まずは本を読むことから。これからも行動に移していこうと思う。


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