『自粛バカ』という本が売れている

 『自粛バカ』という新書が売れているようだ。著者は池田清彦氏。養老孟司さんが推薦している。リスクゼロ症候群に罹った日本人への処方箋と書かれている。面白そうだから読んでみようかと、値段を見たら、新書のくせに1400円以上もする。それでやめた。出版社も売れると見込んで強気の値段をつけた。タイトルからだいたいの内容は想像できる。それにしても、猛攻撃されるようなタイトルをつけたものだ。勇気がないとできない。たぶん、いまは言いたくても我慢している人ばかりだろう。世間がみんなそうなのだから、袋叩きに遭う。

 それにしてもコロナで新語が随分と生まれた。自粛がつくだけでもいろいろとある。自粛警察とは驚いた。マスク警察もある。そういう行き過ぎの過度な反応を著者は精神病理として捉えた。生物学者だから、きっと日本人はと特定していないで、動物はと置き換えたほうがいいのか。いまのような神経過敏な状態は日本人だけではない。世界的に報道されるのを見たら、もっとすごい反応を示す民族もいる。まだ日本人のほうが冷静沈着ではないのか。外国人を迫害したりはしない。暴動も起こらない。スーパーから食品を略奪するなど日本では考えられない。まだましなのではないかと思うが、やり口が陰湿だ。

 今回のコロナではマスコミ、特にテレビが一番よくないと思う。朝から晩まで、同じことばかり、コロナ、コロナと国民を脅迫し続けて、精神的に追い込んで、病気を増やしている。ニュースだけでやればいいのだ。聞きたくないとチャンネルを回すと、どこもそればかりで、うんざりとしてくる。そういうときには教育テレビで「おかあさんといっしょ」を見ていたらほっとする。あるいは高校通信講座物理など。この前はNHKで「もしもの世界」を久しぶりに見た。地球の自転が止まったらとか、体が小さくなったり大きくなったりしたらとか、そういうもしもの世界をみんなで考える。そのほうがためになる。


 テレビ局というそのものも病気なのだ。他に流すことがないから、コロナで埋めたら楽だ。企画するアイデアもないし、考えなくていい。特に昼間の時間は通販かコロナでいい。そう投げているようなものだ。それにくいついて見ていると、多くの人が被害妄想に陥る。ちょっとしたことがすべてコロナに結び付け、具合が悪いと死の恐怖で慄く。

 愛媛の松山に行くにもう何日もないが、最初に従兄と電話で話していたときはそんなことは言っていなかったのに、直前になって、来ないでと言ってきた。ええ? もうキャンセルはできないし、会社もそのために休みをとっている。従兄も80歳ぐらいだから、わたしよりも高齢だ。家族は会わないほうがいいと、わざわざうちの青森のおふくろにまで止めてくれと電話がいって、おふくろから電話がわたしに来た。千葉も感染は多いが、まるで東京から来て、感染者がそんなにいない愛媛で移すなと、拒絶されたようでショックだった。青森の妹も、わたしにあまり動かないでと旅行に出るのに否定的だ。仕方ないから、今回は従兄に会わず、道後温泉と海水浴で自分だけの夏休みとすることにした。

 地方ではそこまでみんな恐れている。青森市でも帰ってこないでと、メモが玄関に投げ込まれているのが全国ニュースになり、コロナ差別はやめようと報道でも呼びかけている。まだそうした反応が異常だと世間はまともな考え方でいるから安心だ。それが、こぞって迫害したり排斥したりしたら、異常社会になる。

 わたしに言わせたら、なんの怖いことがあるのと、まずは正しく恐れよと最初に政府も言っていたことを情報から得ることだ。去年のインフルエンザ感染は1000万人と推定され、死者数は3300人と、コロナの三倍だ。風邪で死ぬ人のほうが多いのだ。コロナと騒ぐこともない。それよりも転倒して死ぬ人は一昨年は1万人もいた。コロナよりも転ばない心配をしたほうがいい。誰も歩いていない朝の通勤路でもマスクはする必要があるのか。わたしの勤める学校でもマスクは必ずしなければいけないが、早朝や夜の誰もいない校内の見回りではいらないのではないか。わたしよりいないのだから。家に一人いるときはマスクは外すだろう。海や山でも今年は入れないようにするとか異常な対応だ。海に行ったら、ぽつぽつと人はいるが、人と人の距離は30m以上は離れていた。そんなところで感染するのか。なんでもダメではなく、あまり騒がないでもらいたい。神経がおかしくなる人がこれからも出て、精神異常者が確実に増えてゆく。そっちのほうが危険だ。

 千葉県で50人の感染者が出ましたと報道される。わたしは、広い千葉県で何平方キロで感染者が一人かと、計算したみたりする。単純計算だが、騒ぐほどの数字ではない。そんなことに憂慮していたら東京まで電車通勤なんかできない。満員電車で1時間くらい地下鉄乗り換えで通っている。それが密状態でも問題がなく、海水浴が問題にされる。旅行にしてもそうだ。ちゃんと健康管理をしていて、移したり移されたりしないように、防御して出かけたら問題はないのではないか。わたしも神経質かもしれないが、過敏ではない。除菌のジェルは会社から配給されたのを常に持ち歩いているし、マスクの予備もバッグに入れてある。マスクには取り換えシートまで入れてある。二重にしているのだ。手洗いなんか、家でも仕事場でも入校者にさせるのがわれわれの仕事なので、率先してやっている。一日何十回と手洗いばかりして、ハンドクリームは欠かせない。学校だから、いまのところは感染者は出ていないが、仲間と第一号だけにはなりたくないねと、この前も話していた。そんなに心配することはない。死ぬときは、他の事故や病気できっと死ぬのだ。

 接触アプリもスマホに入れているが、もう何か月も接触はないと出る。万全を期して、後は普通の生活をして、怯えないことだ。無知が一番よくない。怖いのはコロナではなく、人間だということが今回でよく判った。