【第52話】尿瓶を使わない選択をした尿瓶マスター

昼食後にボーッとしていたら、少し黄色の液体が入った、とても大きな点滴を持ってきた看護師さんが言いました。

「上原さん、今日の抗がん剤は24時間ですね」
「えーマジすか!?明日の14時までずっと?」
「うん、大変だけど頑張りましょうね」
「はい。。うぉーマジか。。。」

生理食塩水などの点滴が24時間ずっと繋がれている分には慣れているし、何の問題も無いのですが、抗がん剤の点滴がずっと繋がれるのは僕的に大問題なのです。この2つ、何が違うかというと、トイレへ行く時の自由度。

生理食塩水などの時には、自分で勝手に充電器だけを外して、トイレへ行ってよいことになっているのですが、抗がん剤治療中は、それが許されません。ナースコールで必ず看護師さんを呼び、抗がん剤を止めてもらったり別のものに切り替えてもらった後でないとトイレへ行けないのです。

加えて、抗がん剤を身体内に残さないように、尿の回数を増やす薬も服用しているので、トイレの数も多いのです。これが、ホント地味ですが多ければ多いだけ精神的にきます。

解決策が一つあるのですが、僕はそれを選択していません。それは、尿瓶を使うことです。尿瓶を使えば、ベッドから動かなくていいので、抗がん剤を止める必要はありません。ナースコールもせずに、僕だけでトイレが完了します。

尿瓶マスターとしては、それもできるのですが、それをやってしまうと、貴重な運動の機会を逃してしまいます。僕が尿瓶マスターになるのは、夜、睡眠導入剤を飲んだ後だけ。「せめて歩ける日中のトイレくらいは歩いておきたい」を優先したのです。

(じゃ文句ゆーなってか笑。)

この抗がん剤が明日の午後までで、終了直後から、尿をさらに増やすための点滴を24時間繋ぐそうです。同じ24時間でも、尿を増やす薬なんて可愛いもんです笑。

2024.1.8

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?