マンガと文学とノベルスキー
ノベルスキーでたぬきをしているものです。
ノベルスキーとは文章が好きな人が集まるSNSです。
このようなキャンペーンを行っており関連記事がちょこちょこnoteに挙がっていましたが、特に内容の縛りはないようなので他の皆がまっとうに宣伝している中ですが自分は文学を扱ったマンガの話でもしようと思います。
作中のコマの引用などは「アル」のSNSで利用可能なコマを利用しています。
圖の大魔術師 - 泉光
現行8巻、「good!アフタヌーン」で連載中(webだとコミックDAYSに掲載)。
タイトルに冠されている「中央圖」を主な舞台とした作品です。タイトルかっこいいんだけど検索面でめちゃめちゃブレる。(実際俺もなんか感想とか書くときは「図書館の大魔術師」表記が多い)
魔法もあるファンタジーの世界なんですが、舞台が図書館で、主人公地方の被差別階級出身ということもあり「万人が書に触れる機会をいかに担保するか?」がだいたいのメインプロットに絡んできています。
世界中の図書館を管理し、「万人が書に触れる機会をいかに担保するか?」のために権力を振るっている中央圖。そこの職員であるセドナ=ブルゥに幼少期に出会い、書が世界を変えることを教わった主人公のシオ・フミスくんが中央圖の司書を目指す……というのが物語の立ち上がりです。
でもそんな中央圖の司書試験は狭い門、世界中から集まってきた天才・異能・金持ちなどがひしめいています。地方出身で勉学や文化の面で遅れを取っているシオくんがどう立ち向かうか!
だいたい体力と人の良さで解決します。主人公のシオくんが見ていて気持ちの良いキャラクターなので読んでいて楽しいマンガですね。他のキャラクターの推しはアヤ=グンジョーさんです。
ほしとんで - 本田
完結済み、全5巻の俳句マンガです。
趣味で文章を書いてる大学新入生の主人公、尾崎流星くんが希望の小説ゼミからあぶれ、俳句ゼミに入ったのでせっかくだから俳句やってみるか!みたいなゆるい感じの大学生活俳句マンガです。
そんなわけで主人公も俳句についてほとんど何も知らないので、大多数の読者である「俳句ってなに? どんなもの?」という層に向けて「季語ってなんでいるの?」「切字ってなんなの?」「作り手の意図と読み手が受け取った意図が異なった場合どうなる?」「十七音で使う季語まで縛ると過去の作品とかぶりまくらない??」みたいな疑問への回答を挟みながらどうやって面白い俳句を書くのか? 既存の俳句のどのへんがおもしろポイントなのか? あたりを触っていくマンガとなっています。
俳句というといっけんとっつきづらいものですが、文字使って創作やる以上は感覚的に共通するものもいろいろあると思いますので「本好きで俳句/短歌あたりにも興味がある……」みたいな人の導入の一冊として良いものなのではないでしょうか。
ノベルスキーでも俳句/短歌好きな人がちょいちょいるので詩歌好きな人も飛び込んで話題ふるとなんかしらの反応があると思います。
辛辣なるグルメ - 原作/香川まさひと 作画/若狭星
完結済み、全8巻のグルメマンガです。
「文学を扱ったマンガの話」といいましたがこれに関しては基本的にずっとメシの話です。ではなんでここで扱ったかと言うと、この作品は「批評」を話の中心に置いた珍しい作品でしたので触れておきたいと思って入れてみました。
ほえほえ、などとかなり奇妙な口調の主人公彦助は元料理人で、かつてグルメ評論によって店を潰されました。今はウーバーイーツ的な配達員をしながら、「グルメの世界を公明正大にしたいのだ」という志を掲げてグールマンというハンドルネームでネット上で料理評論家をしています。
徹頭徹尾料理の話なんですが……評論をする上で生じる「好き嫌いの問題ではないか?」「人を批判できるほど偉いのか?」「作る側に回るべきでは?」「類似した先行作品があることは批判されることなのか?」などの問いに真摯に向き合っています。このあたりの問いは普遍的で、文学に対する批評にも共通するものがあるのではないでしょうか。
この記事もSNSでつぶやく感想も批評です。主人公の「評論家こそ自分に厳しくあらねばあらない」という言葉を噛み締めたりちょっと棚にあげたりしながらあなたもノベルスキーをしてみませんか?
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?