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宇都宮ブレックス最終戦、平岩玄が躍動。

今シーズンの宇都宮ブレックスとの最終戦はアリーナ立川立飛で行われました。
結果は81-67でアルバルクの勝利しました。これで3連敗から脱出して、今シーズン宇都宮には4戦全勝です。

しかし、前節の三河戦で安藤にまでアクシデントが起こり、今節はゲームに出られるロスターが8人となってしまいました。
まさに満身創痍の状態です。

バックコート陣では藤永、大貴、小酒部、安藤という主力が欠けて、フロントコート陣ではロシターを欠いています。

ここで躓くと苦手の秋田、前回1敗した北海道戦と嫌なアウェイ戦が続くのとても心配してました。

本当に強豪の宇都宮に勝ててよかったです。

そんなチームを救ったのがペイントで8割以上のFGメイクをしたサイズと、宇都宮ビッグマンを抑えてディフェンスで貢献しさらに積極的なペイントアタックでそのパワーと成長を私たちに見せてくれた平岩であったと思います。

逆境であるにもかかわらず諦めずに最善を尽くして戦い、そこからニューヒーローが出現するアルバルクの姿を見ていると本当に励まされます。

今回は今節の宇都宮戦の勝因がどこにあったのか検証してみます。

宇都宮はシュートの確率が低かった

スタッツを見てみると、宇都宮のFGは25/64(39.1%)2Pは19/42(45.2%)、3Pは6/22(27.3%)でした。

アルバルクがFG29/54(53.7%)、2Pは22/34(64.7%)、3P7/20(35%)なので少しシュートの確率に差があります。
それだからか、オフェンスリバウンドの場面である宇都宮の自陣のシュートが外れた回数はアルバルクの24回に対して39回ありました。

オフェンスリバウンドはアルバルク7/24本(29.2%)に対して宇都宮は8/39本(20.5%)になります。

リバウンドはアルバルクがよく取っていたと言えます。セカンドチャンスポイントもアルバルク13点に対して宇都宮は9点でした。

つまり宇都宮は難しいシュートを打って多く外してリバウンドもアルバルクの方が多く拾ったという事になります。 

ただしターンオーバーは宇都宮9本に対してアルバルクは15本とアルバルクはミスが多くありました。

では、なぜ宇都宮は確率が悪かったのか?アルバルクはディフェンスで何をしたのでしょうか?

勝つための工夫ゾーンディフェンス

スコットが帰ってきてほぼベストメンバーの宇都宮はロスターのタレントではケガ人続出のアルバルクと比べると戦力の違いは明らかに優って見えました。

その宇都宮は第1Q出だし好調で0-6のランでアルバルクにタイムアウトを取らせました。

アルバルクはそのタイムアウト明けのディフェンスで三河戦で見せた3-2ゾーンディフェンスを敷きましたが比江島にロング2Pを入れらてしまいます。

(通用しないのか)


次に1Q残り5分5秒のコブスのフリースロー明けのディフェンスでは3-2ゾーンから入るマッチアップゾーン(そう言っていいのか迷いますが)を試みました。
このディフェンスが成功しています。

このマッチアップゾーンはエリアを個で守ってオールスイッチするゾーンではなくてミスマッチがなるべくできないように、たとえば吉井とカークはスイッチするけどカークと岡本はしていないなどのルールがあるようです。

また、このディフェンスではペイントのプラグより下は厳しくディフェンスして打たせない。それより上もしくはペリメータのシュートはある程度許容してしていたように見えました。

ここからマンツーマンに戻したりゾーンにしたりするチェンジングディフェンスを2Q最初のポゼッションまで続けました。

その効果は1Q、2Qは点差は2点でほとんど開きませんでしたが、シュートの確率の差はアルバルクのFGは前半16/27(59.3%)宇都宮は14/33(42.4%)と大きく離れていました。

宇都宮は初見のアルバルクのディフェンスになかなかアジャストできずに第3Qを迎えました。
後半のアルバルクのディフェンスはマンツーマンでしたが宇都宮のシュートタッチは戻りませんでした。

伝家の宝刀サイドスペインピック

第3Qにアルバルクは宇都宮をこのクォーター21-10と突き放しましたが、アルバルクがオフェンスで効果を上げていたのがこのところ様々な場面で使われているサイドからのスペインピック&ロールです。

第3Q残り7分34秒
右ウィングに笹倉、ホーンズ右にカーク、左にサイズ、左コーナーにザック、スロットプラグの位置に吉井でエントリーしました。
ボールマンの笹倉はトップに上がったサイズにパス。同時に左コーナーのザックが左ウィングに移動。ここでサイズからボールを受けます。
次にサイズはザックにスクリーンセット。
ザックはサイズのスクリーンを使ってカールドライブします。
吉井はサイズのマーカーフォトゥにスクリーン。
サイズはフリーでゴールへダイブします。
ザック→サイズ ゴール下のシュートが決まりました。バスカンです。49-45

続く3Q残り6分16秒には
同じセットからサイズのダイブにフォトゥが追ったのでザックはカールドライブからレイアップに持っていきました。51-45

主力不在でも若手の台頭

この日のPG笹倉とC平岩の若手2人の活躍は目を見張るものがありました。

笹倉は不用意なターンオーバーをすることはありましたが、オープンを的確に探してキックアウトパスを送ったり、前述のサイドスペインピックを使ってサイズの得点を演出しています(第1Q残り5分14秒)。

第3Q残り3分50秒には粘る宇都宮を引き離しにかかるところで吉井のペイントアタックからのキックアウトパスを受けてスリーを沈めています。
笹倉はとても印象的な活躍でした。 

そして、平岩です。
スタメン登用に応えるようにディフェンスでは献身的にポジション争いやボックスアウトしていました。
オフェンスでは第1Qから積極的です。
マッチアップがフォトゥだったのですが、彼はアルバルクのピック&ロールに対してハードショウにでます。これにリトリートしたコブスは左エルボーから左ウィングに移動した平岩にパスを送るとフォトゥは戻れていないので平岩の前が空きます。平岩は迷わずドライブしていきます。 

第1Qではオフェンスファウルを取られましたが、第2Qでは同様にドライブからスコットに当たりながらもリングに沈めました。(ファウルはもらえなかったけれど)

そして第4Q残り8分13秒
トップのコブス→左ウィング平岩
ドライブを選択した平岩はマッチアップの竹内を反転して抜き去りレイアップ。

今度はスコットのファウルを受けてエンドワンです。


同じシチュエーションでオフェンスファウルからエンドワン取るまでにゲームの中でプレーを重ねるごとに成長している姿が凄いのです。

満身創痍、危機的現状の中で勝つためにはどうすればいいのか模索してプランを立てて遂行しているコーチ陣、トレーナー陣、選手たち。

そしてその中で成長を遂げる若手が暗かった道に光を照らしてくれています。

次戦以降のアルバルクの戦いに期待が持てます。

photos by kii

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