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自分をいらなくする

KeynoteをBookで出版

この半年程,新たに取り組んでいることがあります。

授業の説明はKeynoteを使っています。ハンドアウトは用意していません。必要だなと思ったら撮影していいよとしています。撮影している生徒もいますし,中には説明自体を動画撮影している生徒もいます。

時々,「スライドのデータがほしい」と言われることがあります。ただそのままKeynoteのファイルを渡してしまうのもどうかと思い,PDFにして共有フォルダに入れておくなんてこともしました。でも何かしっくりこない。Keynoteのスライドだけでは説明がちゃんと伝わらない。(スライドだけで伝わるなら説明いらないし。)スライドに書いてない説明(が,かなり多い)も提供する方法はいかがなものか。

そこで,Keynoteのスライドを元にしてBook(Apple Books:電子書籍)を作ってみることにしました。Keynoteのスライドを画像として書き出し。それをPagesに貼り付けて,追加の説明をテキストやApple Pencilの手書きで加える。出来上がったらパブリッシュして,Appleのブックストアで公開。生徒にはリンクを伝えてそこからダウンロードしてもらう。場合によってはePubのファイルをAirDropでそのまま配布。

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やってみれば簡単。Keynoteで作ってあるものなので素材は揃っています。あとは追加の説明を入れるだけ。iBooksAuthor使ってBookを作っていたときのような手間は必要ありません。もちろんできることは限られていますが,副教材と考えれば問題なし。

基本的な説明はMovieに

Book見てもらえれば説明しなくてもわかっちゃうなあと思いつつ,だったら授業中の説明自体をMovieにしてしまえばいいのではと考えはじめました。今の授業は週1時間しかない。前の時間に行った説明の復習とかで時間を取られたくない。そもそも基本的な操作の説明なんて事前に動画で見てもらえればいいんじゃないの。でもそれだと週1時間の授業のために予習で動画を十数分見てもらうのは負担かな。授業内で完結したほうがいいのか。と,あれこれ考えてきました。

とりあえずは定期考査の試験範囲の説明や,自分がいないときの説明用に,モニタの前でKeynote使って説明する自分をiPhoneで撮影して,トリミングだけして書き出したものを使ってみました。表の作り方とかグラフの作り方とか,授業での説明を生徒を前にしないで撮影しただけのものです。

そんなのちゃんと見てくれるのかなと思いましたが,自分が出張中に使ってもらったところ,ペアで授業を担当している先生からは「ふだんの説明の時よりもしっかり見てました」と言われて少々ショックを受けました。。。やはりMovieは使えるし,使わないともったいない。授業で復習や確認に使っていた時間が節約できればもっとやりたいことができるはず。

そこで最近はこんな形で進めています。授業で簡単に操作や機能については1回説明はしてしまう。自分で進めていてわからないところがあったらBookを参照してもらう。または説明のMovieを見てもらう。それでもわからなければ直接その場で質問してもらう。元々質問が少ない授業(お互いに教えあってくれるので)ではあるけれど,そうすれば本当に困っている生徒にサポートできます。

こちら側の作業としてはこんな感じ。Keynoteから書き出した画像を今度はiMovieに読み込んで動画として扱えるようにします。次にClipsを使ってemojiでアバターのようにした自分が解説するところを撮影。iMovie上でKeynoteの画像と解説動画を合成。タイトルやジングルも入れてしまうとやはり時間はかかってしまいますが,プロジェクト毎に作っていけばそんなに負担ではありません。

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自分がどこまで必要なのか

BookがあってMovieがあって,では自分の役割は何か? 授業でとりあえず最初に説明をすること,困っている生徒のサポート,そんなもんか? 自分が授業の中でどこまで必要なのか,自分で自分を試しているような気になります。考えてみると,授業以外のところ,どんなプロジェクトをやるのか考えること,その為にどんなアプリやサービスを使うか検討すること,ではそれをどうやって説明するのか考えてKeynoteを作っていくこと,これらに重点がかけられそうです。

これって情報という「実技系」授業だからできることなんでしょうか? 今,自分がまた国語の授業を任されたら,情報と同じように効率化を考えると思います。常に対面でないと説明ができない,わからないところを解決できない,では時間数が多くてももったいない。対面でなくても自分で調べたりできる環境を作って提供すればもっと「本来やりたいこと」に時間を使えるのでは?

国語科からだいぶ離れてしまいましたが,古典文法を教えるのが大好きで扱っている作品の中身には関心ないし,そこを授業で扱うつもりがないという先生は少ないのではないかと思います。本来は作品の中身を扱いたいのであって,そのためには作品を読めるようにしなくてはならない。それには古典文法が必要だからやっているはずです。この文法の部分を効率化できたら,もっと作品の中身について授業で触れられて先生も生徒も幸せでは?

自分をいらなくする

自分が授業にいらないとは思いません。でも生徒にはいつまでも先生がついているわけではないのだから,BookやMovieなんかがあれば先生がいなくても自分である程度は学ぶことって出来るんだなという体験をしてもらえればいいかなと思います。新しいことを学ぼうと思った時に,学校や先生を求めるのではなくて,自分でどれだけ学べるのかまずは試してみるような姿勢が身につくといいですね。それでこそ本当に学校や先生に求めるものもわかるだろうし,学校や先生の価値も気付いてくれるのではないでしょうか。大人になって「教えてくれる場がないと」「教えてくれる人がいないと」新しいことは学べないと考えてしまうようになったら。。。学校で何やってたんでしたっけって話ですよね。

自分をいらなくする

自分を授業の中で限りなくいらなくすることを考えると,本当に自分がやらなければいけないことや,存在価値が何なのかが見えてきました。


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