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火星ゲーム①

火星ゲーム?

STEAMはじめてから3年連続で取り組んでいるのが「火星ゲーム」。実践報告で話すと「面白そう」と言ってくれる人が多いプロジェクト。今から思えば,なんで「ゲーム」にしたのだろうか。もっとマシなネーミングあっただろうに。

このプロジェクトについては,実際に取り組んだ生徒側から振り返りをしてくれているので読んでみてください。

ベースにしたのは映画「オデッセイ」。主人公の宇宙飛行士がトラブルで一人火星に取り残されてしまう。さてどうやってサバイブするのか,どうやって助けるのか,という単純と言えば単純なストーリー。元となった小説がかなり面白くて,本当は先に小説読んでから映画は観てほしい。映画はかなり端折ってるので,ガッツリ楽しむなら小説だと思う。

さて,それはともかくとして本題に戻ると。主人公は亡くなった者として発表される。しかし,後日,実は生存しているということがわかる。NASAはどう発表したものだか混乱する。生きているのに死んだと発表してしまった。生きていると発表するからには助けることが求められる。でもどう考えても食料も酸素も足りない。助けに行った頃には亡くなっているはず。じゃあ助けないのか? 映画では主人公が自分の知識と独特のユーモアセンスによって生き延びていくし,地球でもスタッフが必死になって助けるプランを考えて実行する。主人公が死んだものだと思って火星を脱出して地球に帰還している仲間の宇宙飛行士達はどうするのかも興味深い。。。気になった方はぜひご覧ください。

授業では,実は主人公が生きているとわかったとして,ではあなた達がNASAのスタッフだったらどういう声明文を作りますかというプロジェクトにしました。これを「火星ゲーム」と名付けました。

予告編を観る

映画について簡単に説明した後,予告編を3種類程観てもらいました。(調べてみると何パターンもあって驚いた。)どういうシチュエーションなのか,ここで理解してもらおうと考えました。食料や酸素,燃料等の条件についてはスライドにまとめて示しました。

この予告編を見せるのは今はやめてしまいました。映画の冒頭20分をそのまま観せています。予告編はあくまでダイジェストです。話の流れ通りではなく,印象的な場面を繋いでいるので,内容がわかるかと言うとわかるようでわからない。私は自分が小説も読み,映画も観ていたので,「予告編でわかるよね」と考えていましたが大間違いでした。生徒にすると「なんかすごそうな話だなあ」という印象が残る程度。いきなり,ではあなた達がNASAのスタッフだったらと言われても自分事にならなかったと思います。だから取り組みも今から思うと甘かった。それは生徒がサボってたということではなくて,こちらの持って行き方がダメでした。

今は映画をそのまま途中まで観てもらっているので,時間の使い方としてはもったいないのかもしれませんが,圧倒的に自分事になっているなと感じます。

グループを組む

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当初はグループで文書を作りました。情報の授業で取り組んでいたので,ワープロの共同編集機能を使いこなそうという目的がありました。3名で一つのグループ。役割を決めていて,一人は取り残された宇宙飛行士,一人はNASA長官,一人は地球に戻りつつある仲間の宇宙飛行士です。それぞれの立場から今後の方針を考え,グループの仲間とディスカッションして最終的な文書を作成してもらいます。

3年目の今年はグループではなく,個人で文書を作成するように変更しました。一つひとつのプロジェクトをコンパクトにしたかったという理由がひとつ。そしてグループワークだとどうしても負担が偏りがちなこと。そこから評価に対する不満,フリーライダーに対する不満が出がちだったので,一度個人でやってみようかと考えたという理由もあります。

同じ立場同士で考える

これも初年度だけですが,各グループ内でいきなり話をはじめるのではなくて,同じ立場の人を集めたグループ(例えば取り残された宇宙飛行士グループ)を一時的に編成し,その中でまずはどうするのか,どうしたいのかを意見交換してもらいました。まだこの段階では食料や酸素の問題をどうするかを調べてもいませんし,考えてもいません。単純にこんな立場だったらどう思うのか,考えるのかを共有してもらいました。

これは正直,様子見でやってみたという感じです。はじめての取り組みだったので,生徒がどんな反応をするのかも見えておらず,まあ率直に同じ立場同士で話してみようという安易な発想でした。

今年度はグループでなく,個人で進めたこともあり,同じ立場同士で考えるという段階は踏んでいません。実際のところ,これはそんなに必要なかったなと考えています。

判断材料を集める

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元のグループに戻って文書の作成を始めますが,気持ちだけで「助ける・助けない」は決められないので,まずは自分たちが判断するための材料を集めるように伝えました。食料,酸素,燃料の問題は? どれだけ助けるのに時間がかかる? その時間を縮めることは可能? 費用は? と,これらは自分の立場とは関係なく調べていくようにしました。もちろんWebで調べたものはリンクを保存し,大元の情報まで出来るだけ探っていくように指示。そういえば,この学年はまだiPadを持っていなかったので,貸し出し用のMacBook Proでやっておりました。

さて,どんな材料が出てくるのか。。。続きは②にて。



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