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火星ゲーム②

最初は「助ける」

一人残された宇宙飛行士をどうしますか?となれば,最初はほぼほぼ「助ける」になります。でも「じゃあどうやって?」となると難しい。食料も酸素も一ヶ月位しかないのに,普通に火星に向かったら1400日以上。それも今すぐロケット打ち上げられたとしての話。助けに行ったところで着いた頃には宇宙飛行士は亡くなっているはずですが,それでも助けに行くのですか?と訊かれたら答えようがない。

ではどうやって?

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ではどうやって助けるのか調べてみる,考えてみる。映画観ればわかるじゃんという方もいますが,映画のストーリーが「正解」ということではなく,あればあくまで一つの答えであって,他の答えもたくさんあるはず。

食料や酸素を何とかする? 火星に行く期間を短縮する? そもそも地球から助けに行くの? 火星から戻ってくる途中で引き返してもらう? どれかだけ解決しても無理でしょう。火星の問題を解決しつつ,地球でできることは何か考えないと助けることはできません。

食料については,NASAや海外の研究での宇宙空間での食料生産の記事を見つけてくる生徒がいました。ただ,これも「レタスだけで生きていける?」「トマトだけで生きていける?」といった問題があります。(映画ではじゃがいもばっかり食べてましたね。)

期間短縮では,こんな方法を使えば早く行けますというのを見つけてくる生徒もいました。でも「その方法ってどんな方法なの? 何で早く行けるの?」と質問されてもわからない。では次回までに説明できるように調べてください。

こんな調子で生徒なりに解決策を考え,それを裏付ける資料を探し,議論していくと。。。

だんだん「助けない」が増える

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続けていくとだんだん「助けない」が増えてきます。どう考えてもこれは助からない,助けられないという結論に流れていきます。映画では助けられるはずなのに。できるはずのことが調べれば調べるほどできないのではないかと思えてしまう。これはけっこう辛いことです。だいたい学校の課題なんて,頑張れば,調べれば「できる」はずなのに。そんな経験をしてもらいたいのです。

そういえば,毎年この段階になると出てくる解決策が「隠蔽」。そもそも生きていることがわからなければ問題にならないのではないか? かわいそうだけれど宇宙飛行士一人が亡くなる「だけ」で済むではないか。でもそれでいいのかと考えはグルグルと回り始めます。

火星の一人と地球のたくさんの人

火星に一人助けに行くといくらかかるのか調べてみます。計算結果によっては軽く一兆円を超えます。そうなるとこんな迷いも出て来ます。火星にいる宇宙飛行士を一兆円以上かけて助けるのと,今,地球で困っているたくさんの人達を一兆円かけて助けるのと,どちらがいいのだろうか? って言うか,どちらもいいことなんだけど,どちらを選ぶべきなの? 面白くなって来ました。

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