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【当事者さん、新人療法士向け】エビデンスを使ったリハビリテーションを行うためのコミュニケーション

 さて、前回「リハビリテーションを受診する上で知っておきたいエビデンスの知識」(https://note.mu/takshi77/n/n23365e83a4e6)について、記事を書かせていただきました。それでは、医療において、エビデンスを適切に使った練習方法であるEvidence based practice(EBP)を展開して行くために重要なコミュニケーションのとり方について、本稿では学んで行きたいと思います。なお、本稿をしっかり理解するためには、「リハビリテーションを受診する上で知っておきたいエビデンスの知識」に眼を通されて、「エビデンスの意味」を正確に理解されてから、お読みになることをお勧めします。

当事者さんの前回の記事に対する感想です。このように、届いて欲しい人に読んでいただけるのは本当にありがたいです。また、今入院されている方には、初めて、かつ一度しかない時間を大事にしていただき、是非、できるだけ後悔しないリハビリテーションライフに役立てていただければと、個人的に思っています。

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本項の目次

1. 治療(練習)に対する説明を受けていますか?

2. 意思決定の機会が設けられていますか?

3. エビデンスを基盤とした練習方法を求めましょう


【 1. 治療(練習)に対する説明を受けていますか?】

 さて、医療において、治療などを実施する場合、当事者さんと医療者との間のコミュニケーションが必ず発生します。例えば、当事者さんが病院を受診され、薬などが出される場合に、「●さんの症状は、こういうものですから、この症状に効くと言われているAというお薬をどれぐらいの量、処方したいと思います。ただし、このお薬は今ある症状には効きますが、眠気や人によると蕁麻疹などの副作用があるかもしれません。如何でしょうか。もし、問題があるならご意見をくださいね。」という説明がなされ、当事者さんは納得の上で、「わかりました」と同意すると、治療が開始されることとなります。

 この会話は医療者側が、過去に世界中で多く実施されたAという薬に対する治験や臨床試験の結果、効果があると実証されている薬を提示されている場合が多いので、エビデンスに基づいた治療方法の提示だと言うことができるでしょう。さらに、医療者は、当事者さんに対し、不利益に繋がる面を説明の上、「もし、問題があるならご意見をくださいね。」と当事者さん自身の意思決定の権利を保証していることとなります。これは、「当事者さんと医療者の対話への医師表明」と取れ、当事者さん中心の意思決定を促す準備と考えることができるでしょう。つまり、当事者さんは、医療者が決定した判断に対して、自分の意思・考えを述べる機会が確保されているわけです。

【 2. 意思決定の機会が設けられていますか?】

 もし、何か問題がある、もしくは「知り合いの医療者からより有用であろうBという薬の情報」を事前に得ていた場合、もしくは治療ガイドラインなどに眼を通し、情報を把握していた場合などは、それを医療者に告げ、AとBどちらが現在の症状において、「リスク」と「利益」のコストパフォーマンスが優れているかについて議論および意思表示をすることが可能です。経済的な利益を優先する「ジェネリック」などを希望するのも同様です。この当事者さんと医療者がお互いの希望や治療に対する意思や知識、そして様々な状況を鑑みた上で、議論を図ることが非常に重要であると昨今言われています。この治療法に対する当事者さんの意思決定を促進するためのコミュニケーション方法を「シェアードデジションメイキング」と呼びます。さて、それではシェアードデジションメイキングは実際に普及しているのでしょうか?

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