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【当事者さん、新人療法士向け】リハビリテーションを受診する上で知っておきたいエビデンスの知識

 本邦では脳卒中などの障害を呈された方々は、救急車などを利用されて、救急病院に搬送されると思います。その後、主治医が実施する疾患に対する治療が施されることが多いと思います。そして、主治医から「リハビリをしましょうか」ということでリハビリテーションが処方され、リハビリテーション科医師や理学療法士、作業療法士、言語聴覚士が紹介される形になります。

 さて、ここからリハビリテーションが始まるわけですが、リハビリテーションを受けられる前に、当事者の方やご家族様に注意をしておいていただきたいことがあります。また、この注意点は担当する各種療法士にも大いに関心を持っていただきたいものです(特に今の時期は今年度から就職する新人もたくさんいますので)。それは、「エビデンスベースドプラクティス(Evidence based practice: EBP)」というものです。

 さて、EBPとはどういうものなのでしょう。日本語に訳すと、エビデンスを基盤とした練習(アプローチ方法)ということですから、エビデンスが非常に重要な概念であることはわかります。まずはエビデンスという言葉について理解することが重要です。本稿では、エビデンスについて、しっかりと理解し、リハビリテーションを受診する際、もしくはリハビリテーションを提供する際のエビデンスの使い方について、簡単に触れていきたいと思います。さて、エビデンスとは日本語の辞書などを調べると「根拠」などと訳されていることがあります。ただし、練習方法の基盤となる「根拠」となると、その練習方法を考えた人の「思想的・理論的背景(例:ある偉い先生が、今まで言われた良いと言われている思想を考えに考え抜いて洗練した方法)」、「生理学的メカニズム(例:練習を提供した際に筋や神経の伝達速度や振幅が増えるなど)」、様々なものと混同してしまいがちです。では、医学におけるエビデンスにおいて、しっくりくる和訳はなんになるのでしょうか??

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