知識の更新 筋繊維タイプの移行

前回、type2bと書いてしまったけど、勉強したところtype2b線維は齧歯類などの小型の動物にあるのみで、ヒトには存在しないと言われているらしい。ヒトの骨格筋はtype1、type2a、type2d/xの3種類とのこと。間違っていたので修正しました。

骨格筋のタイプや移行について、ネットでだけど少し勉強したことをupdate。森秀一先生、和田正信先生等々のお書きになられていた文献を拝読しました。

・弛緩速度の決定因子はミオシンとアクチンの乖離速度であり、それを規定する要因の1つが筋小胞体(SR)の縦走管に存在するATPase(SR Ca2+-ATPase)のCa2+取り込み機能。1<2a<2d/xの順で高く、type1を1.0とすると、2a: 1.5, 2d/x:4.0。よって、2aはより1に近く、2d/xは2a(値は不明)により近い性質を持つ。

・基本的に、持久的トレーニングであっても、ウェイトのような短時間高負荷トレーニングであっても、筋肉は遅筋方向へタイプのシフトが起きる。筋活動に伴うCa2+濃度の上昇により、PGC-1αやMef2の調整が起き、遅筋化に関わる?
・速筋方向へのシフトは、宇宙空間のような極限の除負荷や、クレンブテロール(β2受容体作動薬)の投与により起きることが知られている。

・マウスのヒラメ筋はtype1が40%、type2aは50%、type2bはほぼなし。足底筋はtype1は1%未満、type2aは20%、typebは50%。
・10週齢程度のマウスにランニングホイールを用いた自走訓練を8w行わせ、遅筋化を誘導。平均走行量は9.4±0.9km/日。足底筋を採取、解析。コントロール群と比較して、トレーニング群はtype2aが26.6%→49.6%、type2bが52.1→28.6%。MyHC 1-YFP/MyHC 2a-Siriusダブルノックインマウスで同様の負荷をかけると(4.9km/日)、ヒラメ筋でYFP+Sirius+がコントロール2.6%→15.5%と増加しており、筋線維タイプの遅筋化とともに複数のMyHCアイソフォームが混在したハイブリッドファイバーが増加した。

とのことであった。英文化されて査読されたのかはわからなかったが、実験結果は事実だと思うので、非常に勉強になった。マウスにおけるtype2b→2a,1の移行はかなりの割合で起きている様子。ヒトでどれくらいの割合で起きるのかは不明だが、継続して、長い年月かければ大きく筋組成も変わっていくということだろう。焦らず頑張ろう。

長距離のパフォーマンスは脂質代謝能の向上やミトコンドリアの増加などの要素も大きいと思うが、今回は筋繊維の勉強ということで。

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