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Voices from Takram

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Takramメンバーのnoteへの投稿をマガジンとして集めました。
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2017年12月の記事一覧

Hook ModelとTwitterの変化

先日、Twitterを見ていてふと思った。 前よりスクロールする量が増えてる。 毎朝目覚めてベッドの中で、行動するだけのやる気がでるまで(もしくは自分に嫌気が差して行動せざるをえなくなるまで)タイムラインをスクロールするのが日課になって久しい。そのスクロールの量が、最近明らかに増えている。もちろん、スクロールしたピクセル数をトラッキングしているわけではない。スワイプする指の疲れ具合から感じたのかもしれない。それくらい曖昧ではあるが、たしかに以前に比べてスクロール量が増えて

Takram Cast 47 「海外のオススメPodcast 厳選5つの紹介」 (1/4)

Takramではポッドキャスト「Takram Cast」を毎週月曜日に二本のペースで公開してます。その内容を試しにnote向けに文字起こししてみました。読んでくれる人いるかなー?読んでくれる人がいるようであれば、レギュラー化していこうと思います!ということでプロト版としてTakram Cast の第47回「海外のオススメPodcast 厳選5つの紹介」を今日から4回に渡って投稿してみようと思います。Takram Castの音源のリンクも掲載してみたので、そちらも気になる方はフ

noteはじめました+読書バトン

note始めようかなと思ってたところに、深津貴之さん→渡邉康太郎さん経由で回ってきた #読書バトン。ということで、初回投稿はデザイナーにおすすめの3冊のご紹介。深津さんの言うところの「専門分野で、みんなが楽しめるオススメの3冊」観点で選んでみました。 『サピエンス全史(上)文明の構造と人類の幸福』あんたに言われんでも読んどるわー!という人も多いと思うんですけど、この一年で読んだ本の中ではマストハブアイテムであることは疑いないので、ダメ押しでのおすすめです。 プロのデ

コンテント、コンテクスト

パブロ・ピカソの『盲人の朝食』という絵画がある。頬のこけた盲目の男性がテーブルにつき、パンと水だけを摂っている。部屋も男性もその服も、すべて青みがかった重い空気をまとう。この絵を見て、ある美術評論家は「青の時代に描かれた一作品」と解説し、ある小学生はそれを「ちょっと不気味だ、お隣の井上さんに似てる」と思うかもしれない。ある通りすがりの鑑賞者は例えば「画家が盲人を描くということは、絵画に伴う『見る』行為そのものを問い直す営みか」と考えるかもしれない。一つの絵(コンテント)が複数

読書リスト 2『宇宙と踊る』の料理と語源、科学と恋愛。

#読書バトン のテーマに合わせて先に「『波打ち際』の読書リスト ― 年末に読むおすすめ」で10冊を簡単に紹介したけれど、それぞれの本にまだ尾ひれがつきそうなので、続けていく。 冒頭に「物理学と文学の波打ち際」として紹介したのはアラン・ライトマン 『宇宙と踊る』だった。 先の記事で紹介した、空っぽのオーディトリウムのステージで練習するバレリーナの動きを物理学的に観察し、その跳躍が地球の軌道にどのような影響を与えるかを書いた冒頭の短編。 計算結果や内容はぜひ本をお読みいただく

実体、接線(の彫刻)

以下のテクストは、あるひとつの「もの」について記述している。これはなにか。 それは底面はもつけれど頂面をもたない一個の円筒状をしていることが多い。 それは直立している凹みである。重力の中心へと閉じている限定された空間である。 それはある一定量の液体を拡散させることなく地球の引力圏内に保持し得る。 その内部に空気のみが充満しているとは、我々はそれを空と呼ぶのだが、その場合でもその輪郭は光によって明瞭に示され、その質量の実存は計器によるまでもなく、冷静な一

「波打ち際」の読書リスト ― 年末に読むおすすめ

深津貴之(fladdict)さんから突然渡された #読書バトン 。僕も書きます。Takramという会社で仕事をしていることもあり、本能的に「分類できないもの」に惹きつけられます。 Takramはもともとデザインとエンジニアリングのあいだで揺れる振り子のような存在として始まりました。創業期に参加した当時の僕は、デザインとエンジニアリングそのものに強い関心があったというよりも「二つの価値観のあいだを揺れる」ことに広く関心がありました。 だから乾燥と湿潤が寄せては返す波打ち際の

文字、文字の影

銀河鉄道の夜宮沢賢治の童話『銀河鉄道の夜』。星祭の夜にジョバンニとカムパネルラが鉄道に乗り、いろいろの場所で空の星々を眺める。作中には、たくさんの地名、星座の名前が登場する。星々の南中時刻を組み合わせて分析すると、描かれているのはちょうど「8月13日」の夜であるとわかるそうだ。しかも8月13日の夜といえば、ペルセウス座大流星群。星降る夜、まさに星祭。 この童話の中には多くの星や星座が登場するが、しかし「ペルセウス座」という言葉だけは、最後まで決して出てこない。宮沢賢治は、最

語ること、語り直すこと

うわさアメリカのイラストレーター、ノーマン・ロックウェルの絵に「うわさ」というものがある。 絵はマンガのように左上から始まり右下へ。黒革の手袋の女性が、どこかで聞いた話を別の女性に伝えている。するとその女性もまた次の人へうわさをリレーする。途中で電話を介している(実際に対面していないのに目線があっているようで愉快)。途中で会話を盗み聞きしている人。そこからどうやら非常に声の大きい人の耳に入ると、話が誇張されている雰囲気もある。最下段の中央、指を差されて笑われているのは、きっ