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ツイステのキャラクター達は本来のハッピーエンドを迎えられなかったヒーロー・ヒロインifであるという話

※ツイステメインストーリー、イベント、PS他、元となったディズニー作品のネタバレが多く含まれます。

寮服オルトくんは引けましたか?ユニオンバースデーエース用の石の準備はできましたか?ツムツムのコイン集めは捗ってますか?私は近いうちに来るであろうマレウスツム獲得のためリドルツムを酷使して荒稼ぎしているのですが、未だにレオナツムが出なくて回すため一向にコインが貯まりません。おのれディズニージャパン。

今回の話題はタイトル通り『ツイステのキャラ達は本来のハッピーエンドを迎えられなかったヒーロー・ヒロインifなのでは?』という話をしていきます。
もちろん7寮の元になったディズニー映画7作品は全部見てるよなぁ!?という前提で話を進めていきますのでネタバレなどにご注意ください。まだ見てない人はぜひ見てね。あとファンタジアも見てね。コルドロンと王様の剣もみてry

さて、ツイステリリース開始前から告知PVやCMなどでも使われていた「本当のハッピーエンドを見せてやる」という台詞。記憶に残っている方も多いでしょう。悪役達の本当のハッピーエンド、なんとも心くすぐるフレーズです。
しかしツイステのメインストーリーを進めていくと…別に各章の終わりがハッピーエンドな訳ではないんですよね。根本的な問題は解決していないし、当人達がちょっと問題に対する受け止め方が変わっただけ。じゃあ尚更、本当のハッピーエンドってなんなんだよ?となると思います。
というかそもそもなぜ彼らはヴィランなのか?ほぼ全員性格悪いな〜ぐらいで明確に犯罪行為をしてるような奴はあまり居ませんし、強いて言うならオバブロ組が一時的に、倒さないと周りに被害か行くのでやべぇぞ!といういう状態になったくらいです。
まあこの事に関しては枢先生がインタビューにて「悪役は敗北してこそ悪と呼ばれる」「勝利してしまうと物語上、それは正義になるのでは?」と発言されています。その為、本家ディズニーでのヴィランズの定義はともかくツイステではヴィランズ=物語上敗北した者という捉え方ができます。
つまりナイトレイブンカレッジの生徒たちは犯罪行為をしたり他人を害したり悪い事をしたからヴィランズなのではなく本人の行いの善し悪しに関係なく物語上敗北した者たちだからヴィランズなのです。

ならその〝物語上の敗北〟って具体的にはどういうことか。
各キャラのメインモチーフとなっているヴィラン(リドルならハートの女王、レオナならスカー)と同一の物語上での敗北(結末)を指しているとするなら死んでるキャラも生きてるキャラもいるし結末がバラバラで統一性が無くなるのでその可能性は低いと思われます。ですから〝物語上の敗北〟とは、こうあるべきだった物語…正しいルートを辿れなかった事を指しているのではないでしょうか。

ツイステって名前の通りねじれて歪んだ世界な訳です。ならヴィラン側とヒーロー側がごちゃまぜになっていても全然おかしくない。つまりツイステキャラ達には物語上敗北してしまったヒーロー・ヒロイン達がサブモチーフというか裏テーマとして組み込まれているんじゃないか?つまりツイステのキャラクター達は本来のハッピーエンドを迎えられなかったヒーロー・ヒロインifなのではないか。

本来のハッピーエンドを迎えられなかったヒーロー・ヒロインって何やねん?というとライオンキングのシンバがもし母国に帰らずティモンやプンバァたちとジャングルで暮らし続けたら?
アラジンが自分はアリ王子だと身分を偽ったままジャスミンと結ばれたら?
リトル・マーメイドのエリック王子がヴァネッサと結ばれたら?
というifの事を指しているのではないかと思います。

だってこのストーリーを辿ってしまったら、シンバは王の後継という役割から解放されて楽しい日々を過ごせますが、母国はずっと滅びの危機に晒されるでしょう。父の死の真相を知らぬまま、その事を一生後悔するかもしれません。
アラジンは愛するジャスミンと結ばれて幸せな時間を手に入れられますが、その一方でジャスミンやサルタン王…様々な人に嘘をついている罪悪感を抱えたまま過ごすことになります。
エリック王子とヴァネッサが結ばれたらアリエルの恋は叶いません。
当人達からしたらこれらをハッピーエンドとは言えないですよね。

ヒーロー・ヒロイン達のような正しい道を辿れず、めでたしめでたしで終われなかった者たち
。それがツイステキャラ達全員に裏テーマのようなものとして組み込まれているのでしょう。特に寮長達が分かりやすく各寮の元になった作品のヒーロー・ヒロインifなのではないかと思うので具体的にどんなifなのかを説明していきます。ようやく本題だよ前置きが長い!


リドルの場合 

リドルは母親から虐待に近い教育を受け、家から自由に出られる環境ではなかった事が語られていますがこれは『ハートの女王から逃げられなかったアリスif』なのではないかと思います。リドルにとっての母親は理不尽な決まりを課すハートの女王でもあったのでしょうね。

本家アニメでハートの女王に追いかけられていたアリスは扉の前でこれは自分が見ている夢だと気づき目が覚めますが、ifアリスであるリドルは女王に捕まってしまい長らく夢から覚めることができなかったのかもしれない。
リドル母の事をリドルにとってのハートの女王と称しましたが本家ハートの女王と違ってリドル母はリドルに対しての愛情は間違いなくあったのだろうな〜とは思います。
母は子を愛していたし子は母を愛していたけど明らかに異常で両者の為になっていない親子関係なのがおつらい。まあローズハート親子に限らず「好きだけど不満がある」「嫌いだけど情はある」「敬愛しているけど崇拝はしていない」「憧憬を抱いているが理解はしてない」みたいなのが多いよねツイステ。愛が免罪符にならない。

レオナの場合

レオナ『国に帰らなかったシンバif』
彼の留年設定は、国に帰らずジャングルでティモン(ラギー)やプンバァ(ジャック)と楽しく暮らすシンバである事を指しているのではないでしょうか。サバナクロー寮や彼がよく過ごしている植物園はジャングルの要素がありますし。
でもおじたんホリデーに国に帰ってるやんけ!
この場合の国に帰らなかったというのは果たすべき役割を果たしていないという事なのでしょう。兄ファレナが「たとえ王になれなくともお前は賢い、国のためにできることがたくさんある」と言ってましたね。お兄ちゃんはちゃんと分かっている。
余談ですがレオナさんの腕のタトゥーはライオンガードというライオンキングの続編TVシリーズで登場するプライドランドのガーディアンの証なのですが(本家スカーはライオンガードの元リーダーだが正義の力を悪事に使用した為力と立場を剥奪された)、その件に関してはレオナさんの場合はシンバの第二子であるカイエンの要素もあるのではないかなと思っています。
代々ライオンガードは雄ライオンのみで構成されていたんですがカイエンの代では初めてライオン以外の動物達がライオンガードとして選ばれました。ツイステ世界でスカーは『嫌われ者のハイエナを部下に迎え重用した』『出自に関係なく能力の高い者を部下とした』王として伝わっていますし、いずれレオナさんは夕焼けの草原でいろいろな種族を率いて国を守る存在になるのかもしれない。

カリムの場合

カリムは『嘘がバレなかったアラジン(アリ王子)if』。カリムは名前自体がAl-Asim→AlAsimローマ字読みでアラジンだったりそもそもアラジン要素が強いんですよね。カリム(アリ王子)にとってのジャスミンのような存在がジャミルであり、アリ王子はジャスミンに身分を偽って接していた訳ですがそうなるとカリムはジャミルに対してなにか嘘をついている事になります。
その嘘とはなにか?
ジャミルはカリムの事を『次期当主』と度々呼ぶのですがカリム自身は一度も『次期当主』と言った事はありません
設定資料集には『アジーム家長男』と書かれていますがマレウスが次期領主、イデアがシュラウド家嫡子(家督を相続する者)という表記ですからカリムがアジーム家を継ぐ最有力候補であるなら表記は次期当主か嫡子で良いはずです。
カリムの普段の様子やら見る限りアジーム家次期当主〝候補〟である事に間違いはないでしょうが〝最有力候補〟ではなく他に有力なアジーム家当主候補がいるのではないでしょうか。

そしてカリムの本当の立場をジャミルは知らないし、(おそらくジャミ両親も知らない)(そもそも極秘情報?)カリムがなぜその事を隠しているのかという詳細はわかりませんが、ジャミルの両親はおそらくカリムの事を最有力の次期当主候補としてか見ていないでしょうからカリムのその立場が失われた場合。ジャミルにカリムの従者である事を求める必要が無くなりますし、そして現時点で(少なくとも本人が口にする限りでは)家族のために、カリムが解雇しない限りという理由をつけてカリムの従者をやっているジャミルがもうカリムの従者をやらなくてもいいという状況になります。
本当の自由を得た上でその先2人がどういう選択をしてどういう結論を出すのか。それが今後の2人の関係の鍵になってくるんじゃないかと思います。

ヴィルの場合

正直わからん。あまりにも漠然としている。
if白雪姫だというのは分かるけども具体的にどんな道を辿ったif白雪姫なのかはコレだ!という根拠がないのですがそれでも憶測で語るのなら
『会いたい人が迎えに来てくれなかった白雪姫』とかなのかな〜と思います。
星に願いをのイベスト(ヴィルの願い)にて願い事を聞かれたヴィルは「アタシの願いはアタシ自身で叶えるわ。よって星に託すような願いはない」と言っていますから、願い事自体はあるのでしょうが内容はわからないままです。
ですがとりあえずなんでもいいからと監督生が「綺麗になりたいとか」「誰かに会いたいとか」と聞きます。
これ前者は白雪姫の女王の願いで後者は白雪姫の願い事なんですよね。どちらを選んでもヴィルは特になにも言いませんが否定もしませんし願い星には結局、星を回収しにきたトレイグリム監督生達が早く部屋から出て行くことを願います。
つまり妥協案として出された「綺麗になりたい」「誰かに会いたい」という2つの願いを特に否定せず、星に願わなかったという事はその2つがヴィル自身が自分の力で叶えたい望みである可能性が出てきます。
綺麗になりたい、という願いについては常に並々ならぬ努力をしているのが普段のヴィルの様子を見れば理解できます。では誰かに会いたい、という願いは具体的に誰に会いたいのか?
安直ではありますが、母親ではないかなと思います。ヴィルは父親の話はよくするんですが母親の話は一切しないんですよね。詳しい理由は不明ですが母親は不在である可能性が高いです。
白雪姫にとっても母親(義母)は重要な存在ですし、if白雪姫がテーマになっているであろうヴィルが自分の母親と会いたがっている…というのはそこまで不自然ではないと思います。6章でお出しされるかもしれない新情報が待たれる。

イデアの場合

イデアは『冥界からメグを連れ戻せなかったヘラクレスif』イデアにとってのメグにあたる存在はオルトなのだと思われます。
現時点の情報を見る限りオルトがイデアのイマジナリー弟ではなく過去に実在し、そして亡くなっている弟であることがわかりますがじゃあプレイヤーの知る現オルトはなんなのか?
まあこの件に関してはおめかしギアオルトPSにてオルトが自身にAIが搭載されていると発言していますから、現オルトはかつて存在したオルト・シュラウド本人の思考と記憶を元に作ったロボットなのでしょう。
オルトの思考を模した人工知能をイデアが作るのはさすがに難しい(イデア個人の主観が入ってしまう)のではないかなと思うので、完全な憶測になりますが自分の死期を察したかつてのオルト・シュラウドが自分の記憶と思考を模したAIを兄に残したのではないでしょうか。
そして後にイデアがボディを作りイデアとオルト、2人の天才によって完成したのが現オルトなのではないかと考えています。
イデアが現オルトをロボットとしても弟としても扱っているのは、まだイデアの中で現オルトを「弟の記憶と思考を引き継いでいるから弟」なのか「最高傑作のロボット」なのか定まっていないのではないでしょうか。

またオルトはハロウィンイベにて「実は僕、ハロウィーンのことそんなに大好きってわけじゃないんだ」と発言しています。
ハロウィンといえば死者が帰ってくるお祭りでもありますから現オルトにとってはかつてのオルトがゴーストとなって帰ってくるのはあまり好ましい状況ではない、というのであれば上記の発言も納得いきます。
ということは現オルトとかつてのオルト・シュラウド記憶と思考こそ限りなく近いが完全に別の存在であり、機械の体に人の魂を定着させました!とか死者蘇生!みたいな存在ではない事がわかります。(この辺イデアの得意科目が召喚術なのがミスリードですね)
要するに現オルトと亡くなった弟であるオルトは別の存在であり、イデアはオルトを救うことは出来なかった…つまりメグ(オルト)を冥界から連れ戻せなかった(死から救えなかった)ヘラクレスというテーマがあるのではないかなと考えています。現オルトの「兄さんとのメモリーを増やしたい」という発言の重みが増しますね。自分の元となった存在から受け継いだ記憶じゃなくて自分自身と兄さんとの新しいメモリーが欲しいオルト…今のオルトからすると受け継いだ記憶はあくまで記録であり実感の薄いものなのでしょうね。

マレウスの場合

マレウスは『100年眠ったオーロラ姫if』
もうツイステッドし過ぎて原典回帰してません???
「産まれた日が国の祝日になった」とか「リリアはいつも僕を子ども扱いする」とかオーロラ姫の設定や台詞のオマージュが多いんですよね彼。202cm(ツノ込み)のプリンセス。
マレウスの魔法史ボイスの「100年前から何も変わらない」という台詞からマレウスは現在大体100歳くらいの年齢であることが察せられます。
100年眠った、といっても本当に眠っていたのではなくマレウスが眠っているのと変わらないような日々を送ってきた事を意味しているのではないかと思います。

アニメ眠れる森の美女においてマレフィセントはオーロラ姫の呪いを解ける存在であるフィリップ王子を100年監禁しようとしますがフェアリーズの助けもあり、王子はすぐに脱出します。
ですがこの場合は王子が脱出できず100年閉じ込められたまま時が過ぎたifでもあるのでしょう。
そして作中でナイトレイブンカレッジは創立100周年。多少年齢の誤差はあれどおそらくナイトレイブンカレッジ創立100年目である年がマレウスの目覚める時でありマレウスにとってのフィリップ王子に出会う時…まあもう出会っているんですが。
マレウスにとってのフィリップ王子は監督生。作中でこれでもかとお互い好意的である事が提示されていますし、ifテーマとは別にメインモチーフやサブモチーフでも密接な関わりがあります。
ちなみに5章まで会って話していたのがいつも夜だったのは夢の中で出会っていたフィリップとオーロラのオマージュ。監督生がマレウスの正体を知らずあだ名(偽名)で呼んでいたのはフィリップがオーロラの正体を知らなかった事と、当時オーロラはブライア・ローズという偽名で生きていた事が由来ですかね。

ちなみにアニメのマレフィセントが王子を監禁し100年後に解放しようとしたのは年老いたフィリップ王子が眠っている間は若々しいままであるオーロラ姫を助ける事ができても王子の方は老衰で死に、姫は1人取り残される…という、ヴィランズの顔役が考えることの悪辣さはすげぇやという話でもあり、ツイステではマレウス(若いままのオーロラ姫)と監督生(年老いたフィリップ王子)の寿命差ゆえのバッドエンドでもあるのでしょう……とみせかけてまあこれ監督生が若々しいまま…マレウスと同じかそれ以上に長寿であるなら解決するんですよね…具体的には人外とか…
話が逸れるどころではなくなるのでこの話ここで終わり!次いくぜ!

アズールの場合

なんでアズールを最後に持ってきたのかというとマレウスの後じゃないと説明しづらいからです。
先程のマレウスの話で言いたかったのはようするに今後マレウスと監督生はかなり親密な仲になるんじゃない?という事なのですが、まあその仲が親愛なのか友愛なのかそれとも別のなにかなのかはともかく、ツイステは歴代ディズニー作品に強くインスパイアされた作品であり、そのディズニーが長らく恋愛、友愛、家族愛がテーマの作品を作ってきた以上ツイステの目指すエンドに〝愛〟という要素は避けて通れない道なんじゃないかなと思います。

そしてアズールは『恋が叶わなかったアリエルif』。やっぱり原典回帰じゃねーか!!!
エリック王子はアニメ作中で魔女アースラが化けた美女ヴァネッサと結婚しかけ阻止され最終的にアリエルと結ばれますが、この場合はそのままエリックとヴァネッサが結ばれたif。
というかマレウスと監督生の話をした時点で察しているかと思いますが、アズールにとってのエリック王子は監督生でありヴァネッサはマレウスなのでしょうね。
ナイトレイブンカレッジの寮の中で〝魔女〟を讃えているのがオクタヴィネルとディアソムニアだけだから、茨の魔女の要素があるマレウスが深海の魔女の役に当てはめられたのかもしれない。

それはさておき、アズールが監督生に恋?という点で疑問に思う方も多いはずなのでそれが本当に恋なのかどうかはともかく、アズールは3章ラスト以降けっこう監督生を好意的に見てるんだぜ、という話をしなくてはならない。
3章といえばイソギンチャク、悪徳商法、サバンナヤクザ、砂になったコレクション、オバブロタコチャンと色々あったがなんやかんやで現時点で1番一見めでたしめでたしっぽく終わっている章ではないかな〜と感じます。
砂になったアズールの契約書に関してはやりすぎだという意見も理解できなくもないし、集める為にアズールが費やした努力もその契約書(能力)自体の価値も凄い物ではあるんだけど、制御の為におそらくユニーク魔法を常時使用してないといけないという特性上、あるだけで命を削る呪いの財宝みたいなブツになってたので結果論だが手放せてよかったんではないかなと思う。金庫に意図せず攻撃を当てちゃったフロイドにブチ切れるアズールとかどう見ても正常な状態ではなかったし。いやそもそも契約書はほぼ詐欺みてーなやり方で得た物なんですがね!?

ともかく3章がめでたしめでたしっぽく終わっているのはアズールが反省点は次に活かす!モストロラウンジ2号店も諦めね〜ぜ!という不屈の商人魂を見せたからというのが強いが(慈悲はどこ行った)その前に監督生から「他人から能力を奪わなくてもあなたは充分すごいです」「学園長を困らせた、希代の努力家だ」という肯定の言葉があったのも大きい気がします。アズールは今までの努力を誰にも褒められた事が無いというのは双子や現両親や実家のリストランテのスタッフとの関係を見る限りありえないが、それでも監督生の言葉が響いたのはアズールにとって監督生が完全な他人だったからなのだと思う。アズールのいじめられっ子時代のエピソードや両親が離婚した件(おそらく実父の浮気が原因)を見るにアズールにとって大事なものを奪っていくのはいつだって他人だったし、でもその奪っていくはずの他人から初めてなにかを与えられたから嬉しかったんじゃないかな。(そう考えるとアズールの中で双子は本当に身内というか家族みたいな存在なんだろね)

そんな訳でもともと身内と認めた相手に対する情が厚いアズールは3章以降かなり監督生に対して好意的というか高く買っている。
わかりやすいのはおめかしバースデーPSでデリケートな話であるだろう両親が離婚している事をあっさり喋ったり、ゴスマリで校舎から逃げてきた生徒達の中で真っ先に監督生に対して「ご無事でなにより」と言ったりする。この時逃げてきたメンバーにはアズールとしてはパイプを作っておきたいはずのディアソムニア寮のセベクと副寮長のリリアもいたので彼らに声をかけなかった以上、監督生にかけた言葉は商売云々は関係なく本当に言葉通りの意味なんだと思います。4章でアズールはオクタ寮にやってきた監督生に「ボロ雑巾のよう」と言うが4章内でアズールとジェイドの気心知れた間柄ゆえの嫌味の言い合いを見ているかぎり、あれはアズールなりの親しい友人・同年代に対する関わり方なんだと思う。
例えば冗談の言い合える仲の良い友人に「お前馬鹿だな〜」と言われてもそれは冗談であると受け取れるだろうけど、対して仲良くない人に同じ事を言われたら「あ?喧嘩売ってんのか?」となってもおかしくないと思う。
つまりボロ雑巾呼びはアズールなりの親しい人に対する冗談(身内間でのみ通じる悪ノリ)なのだが距離感を間違えた結果普通に悪口だとプレイヤーにも監督生にも思われている。
アズールの好意は一方通行であり、アズール視点では自分と監督生は結構仲良しという認識なので…事故が発生します(予言)。
マレウスと監督生が夜間に密かに交流していたのは殆ど知られていないがいずれ普通に学内でも仲睦まじく会話をするようになった場合、アズールからしたら自分と交流を深めていたはずの監督生が急に出てきたマレウスに取られたように見えるのではないだろうか。
それはリトルマーメイドのエリック王子が突然現れたヴァネッサと結婚しようとしたように。原典で王子が別の人と結ばれて失恋した人魚姫のように。
おそらくアズールからの好意は監督生には伝わらないまま終えるのだろうというのが予想です。

しかしこれで終わるわけではありません。
アンデルセン原作の人魚姫において、人魚姫は王子の心臓をナイフで突き刺せれば泡になって消えずにすむと言われ、しかし王子を傷つける事はできず泡となります。ここまでのストーリーは有名ですが続きがあり、その後人魚姫は風の精となります。そして善行を積むことで魂を得て天国へ行けると告げられるのです。
重要なのは『善行を積む事でが得られる』という点です。善行はそのままオクタヴィネル寮の精神である慈悲に繋がり、魂は心臓と言い変えることもできるのではないでしょうか。

ジェイドのユニーク魔法は『齧りとる歯(ショック・ザ・ハート)』でフロイドのユニーク魔法は『巻きつく尾(バインド・ザ・ハート)』、どちらにもハート(心臓)が入っていますね。
そして『ファインディング・ドリー』というディズニー作品において『タコには3つの心臓がある』という台詞…というより豆知識が登場します。
しかし現時点でのアズールのユニーク魔法は『黄金の契約書(イッツ・ア・ディール)』
これは、失恋(あえてこう呼びます)を経て、心境の変化があったアズールのユニーク魔法が変化して『〇〇・ザ・ハート』という新たなユニーク魔法を手に入れるという事なのではないでしょうか。
アズールだけやたら説明長くない?

最後に

結論からいうと、彼らは本当のヒーロー・ヒロイン達のような正しい道を辿ることはできなかった者たちです。
でも、まだ彼らの物語はエンドを迎えていない。負けたって死んでいない。人生は続いている。
彼らはまだ人生が始まったばかりの10代の若者じゃないですか。人生を送る上で誰にだって失敗はあるし、間違いを起こす事だってある。その原因が当人ではどうにもならなかったことだってある。各章の終わりで問題が解決してない?問題に対する向き合い方が変わっただけ?そりゃそうです。だってまだ結論を出すには早い。まだまだ物語は続くから。でもそれは前に進むための大きな1歩なのです。
色んな経験をして気づきを得て、そうして一生をかけてその問題と向き合っていくのでしょう。
そしてその先でいかに自分が納得できる幸せな終わりを迎えられるのか。
ツイステの目指す本当のハッピーエンドとはそんな1度失敗してしまった子供たちが改めて勝利を、本当のハッピーエンドを目指す話なのではないかと思うのです。

まあサービスが続けばの話になりますが、ツイステは今はまだ学園内でのストーリーがメインですがいずれツイステッドワンダーランド中を巡る話になるのではないでしょうか。第二部的な。
学園を卒業した彼らが、大人になった彼らがどんな道を辿りどんなエンドを迎えるのか、それらを見届けるのが監督生というキャラクターでありプレイヤーの役割なのだと思います。
余談ですが、この作品において明確な悪がいるとしたらそれは彼らが前に進むのを、未来へ向かうのを阻む者です。
最終的な勝利ではなく、一時の勝利に固執する者です。そいつを倒したらひとまずツイステ第一部完!という形になるんじゃないかな〜と思います。
というわけでここまで読んでくれた方々ありがとうございました。次はこの記事の補足とコミカライズについてとかを語りたいですね、それではまた。


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