
なんで太ってるの?
小さい頃、私はおじいちゃんおばあちゃん子だった。
おばあちゃんはずっとホテルの清掃員をやっていて、その給料でパチンコを楽しんでいた。
おばあちゃんの給料日になると、おじいちゃんが
「また給料ぜんぶパチンコに使われちゃしょうがねえ」
と慌てて私を連れて、仕事帰りのおばあちゃんを駅で待ち伏せする。
「あんりに美味いもん食わせるぞ」
駅にやってきたおばあちゃんにおじいちゃんが言って、回転寿司に行く。
おばあちゃんも早くパチンコに行きたいもんだから、文句は言わず、さっさと連れて行ってくれる。
それを見て、子供の私は学ぶ。
明日も駅で待ち伏せすれば、美味しいものが食べれる。
私は次の日からも一人で駅に行き、おばあちゃんの帰りを待ち、一人で駅で待っている孫におばあちゃんは美味しいものを食べさせる。
おばあちゃんを待ち伏せしてごはんを食べたことは家には言わず、帰ってからまた普通にごはんを食べる。
仕事で忙しいお父さんはたまに会う娘がどんどん太っていくのを見て、おじいちゃんやおばあちゃんに注意する。
「カラダに悪いお菓子は食わせてねぇから大丈夫だ。中学生になったら運動部に入らせればいい。自然に痩せる。」
おじいちゃんとおばあちゃんはお父さんにそう言って納得させた。
そして、中学生になった私は、料理部に入部した。
おじいちゃんとおばあちゃんの期待を裏切り、自分で美味しいものを作れるように成長してしまった。