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2020/9/24

この前、資生堂ギャラリーで開催されている、諏訪綾子さんの『記憶の珍味』を体験した。個展なのだが、観てきたというより体験してきたが相応しい展示だった。私はもしかしたら全く知らないかもしれないのに、とてつもなく懐かしい気持ちになる香りを鼻先にぶら下げたまま銀座を歩いた。
少し小腹がすいたので、お昼を食べに有楽町の交通会館へ向かう。ちょうどお昼時で混んでいたが、私が好きな甘味屋さんはほどよく空いていたので、卵雑煮を頼む。ちょっぴり塩気が強い透き通ったつゆに浮かぶ焦げ目のついた餅、適当に散らされた三つ葉に、半月かまぼこ。これこれ~と一人でニコニコしてしまった。

幼い頃、母や祖母とお出掛けすると、二人が寄りたがるのは決まって甘味処だった。
あんみつとかも好きだけど、辛党だった私は、磯辺焼きか、お雑煮がお決まりだった。そして、母の頼んだあんみつを一口だけもらうのである。
町中でも、デパートでも、ひっそりとある甘味処で一息つくのはとても心地よかったはずなのに、そのことをすっかり忘れていた。
コーヒーが飲めるようになると、純喫茶を探して行くことがふえたが、私が一番落ち着くのは甘味処なのかもしれない。
懐かしい気分を体験したせいか、お店選びを含め、ふと昔のことを思い出した日だった。

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