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『た子の足跡日記』ー有料老人ホームにてー タロウさんは森のくまさんみたいな大男だ。 車椅子に乗って自操しているのだが、車椅子はおもちゃみたいに見える。 いつもお腹を空かせている。 「何か食べるものちょうだいな」 と、手を差し出してくる。 慣れるとそれは挨拶みたいなもので、差し出された手にグーを乗せて 「はい、空気!」 と、渡してやるとニヤリと笑い、そのまま何処かに消えて行くのが常である。 そんなタロウさんの毎日の日課は、施設内をうろちょろして何か口に入るものを探すことで