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【0034】 知心と知恩

怒涛の1ヵ月が終わったが、

怒涛の中にも、不思議な出会いがあった。

出会いの時は、その時間だけ、時の流れがゆるやかになったような、激流の中にいることを忘れるような、そんな感覚の時間であった。

その出会いのひとつが、東京は品川界隈に店を構える和菓子屋さんだ。

お客様への手土産を求めて、通りがかったその和菓子屋に入った。

欲しいのは商品であり、店先にディスプレイされたお菓子に惹かれてその店に入ったのだが、僕の目は店内にかけられたカレンダーに釘づけになった。

そこには「知恩」と書いてあった。

恩を知る、と書いて知恩。

「他人が施してくれた恩を知る」

と意味まで書いてくれているそのカレンダーは、

まさにこの5月、いろんな人に助けられながら業績を積み上げている己にぴったりのメッセージを投げかけていた。

また、自分は「知心会」というところで毎月勉強をさせてもらっているのだが、会の名前の由来は、

「如実知自心」

ありのままの自分を知れ、という教えからだ。

その知心という言葉とも一文字違いということもあり、さらに自分は釘づけだ。

知心と知恩。

至極シンプルな仏教の言葉が、初夏の陽気の東京で馬鹿正直にスーツ姿で汗ばむ自分に沁みてくる。

余談だが、我が家は浄土宗であり、お寺との関わりも深い家だったこともあって、自身の結婚式は知恩院で仏前で挙げた。

6月に入ると、少し仕事のペースを落として、5月を我慢してくれた分、嫁子供孝行しようと思っていたところで、夫婦生活を初心に立ち返らせてくれる言葉に出会ったものだ。

怒涛の中の静寂、店主ご夫婦との会話も相まって、心身ともに浄化された思いであった。


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