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歌劇「ヘンゼルとグレーテル」(フンパーディンク)

ようこそ、CLASSIC BAR VERSTECKへ。


さて、"本日のオススメ"は、フンパーディンク作曲の『歌劇「ヘンゼルとグレーテル」』です。(数字はなし・名曲解説全集第19巻-P425)

今日は子どもの日という事で、いつもの乱数数字を出さずに、それらしい曲をチョイスしてみました。

本日の曲、通常だとクリスマスの時期に毎年各地で上演されている超定番曲ですが、子どもらしい曲という事で、選んでみました。


エンゲルベルト・フンパーディンク先生。1854年-1921年(67歳)の、ドイツの作曲家ですね。

ヤナーチェク先生、スーザ先生と同じ年の生まれです。


高校教師を父に持ち、おそらく建築(が軸)と音楽を学び、途中で完全に音楽へ切り替えたようです。音楽をたしなんでいた、母と祖父の影響との事。

22歳ころには、モーツァルト財団の奨学生となり、ミュンヘンへと赴きます。

25歳ころには、メンデルスゾーン賞を受賞し、ナポリへと赴きます。ここで、ワーグナー先生と出会い、その後ワーグナー先生の助手としてバイロイトのお手伝いをし、『パルジファル』の初演準備も手伝っています。また、オーケストレーションや歌曲の作曲技法などもワーグナー先生に学びました。

27歳ころには、マイヤベーア賞を得て、賞金も得ています。

その後、バルセロナ、フランクフルト、ベルリンは各地で教鞭をとるなど、なかなかな優秀な方ですね。


本日の曲は、『歌劇「ヘンゼルとグレーテル」』。

先生、36歳ころの作品です。

原作はもちろん、グリム童話の「ヘンゼルとグレーテル」です。


経緯はすごく良くて、先生の妹さんからの依頼だそうです。妹さんの旦那さんの誕生日で行われる家庭劇のために妹さんが脚色した「ヘンゼルとグレーテル」に、歌を4曲書いて欲しいと。

この時点で、フランクフルトの音楽院で教鞭をとっています。なかなかな依頼ですね。

ただ、先生がちょうどオペラの作曲を検討していた時期だったこともあり、台本を書き直してもらい、ジングシュピールとして完成。さらに1年かけて全曲に手を加えて3幕の作品として完成しました。


初演の指揮は、R.シュトラウス先生。

大成功を収めます。

R.シュトラウス先生もさすがです。


ワーグナー先生亡き後(1883年没)、楽劇の系統を継ぐ作品はまだ当時(1890年)は無く、イタリアオペラはプッチーニ先生が台頭してきたころで、ヴェリズモ・オペラ(現実主義)の台頭のころ。


そんな頃に、ワーグナー先生に学んだ先生が出すべき作品は、一体何だったのだろうかと考えたときに、先生自身がやりたかった事が、妹さんの一声がきっかけで明らかになったのでした。


ドイツ神話で成功したワーグナー先生の手法を、メルヘンの世界で応用した「メルヘン・オペラ」を作曲していき、成功を収めます。




<登場人物>
ヘンゼル:グレーテルの兄
グレーテル:ヘンゼルの妹
ゲルトルート:ヘンゼルとグレーテルの母
ペーター:ヘンゼルとグレーテルの父
眠りの精
露の精
おかしの魔女


<あらすじ>
第1幕:貧しいほうき作りペーターの家
両親は働きに出ており、ヘンゼルは家業のほうき(箒)作りを手伝い、グレーテルは靴下を繕っています。2人も次第に飽きてお腹も空き始めます。グレーテルは空腹である事を言い、グレーテルはその怒りを収めようとします。グレーテルは壺にミルクがある事をヘンゼルに伝えると、ヘンゼルはそのクリームをなめてしまうと、グレーテルはつまみ食いはダメとたしなめ、夕ご飯のごちそうを思うと気持ちも高揚し、2人で踊ります。グレーテルは、お利口な子です。
母が帰ってくると、仕事がはかどっていない事に怒ります。そして2人を追い回しているとミルクの入った壺を倒してしまいますが、それを見て2人は笑ってしまい、それによりさらに怒った母は、森に野イチゴをカゴいっぱいに摘んでくるよう言いつけます。
すると父もほうき売りの仕事から帰り、今日はたくさん売れたと、ベーコンや卵を買ってきたと母に報告します。父は子どもたちがいない事に気付くと、これまでに起こった事を聞き、青ざめます。なぜなら、その森の奥深くには魔女が住んでいるから。急いで2人は子供を探しに出かけました。

第2幕:森の中
ヘンゼルとグレーテルの2人は、約束通り野イチゴをカゴいっぱいに摘めて一安心。鳥の鳴き声を真似するなどの遊び始めると、次第にお腹も空いてきました。摘んだ野イチゴを食べ始めましたが、とうとう全部食べてしまいました。またお母さんに叱られる、と途方に暮れます。
次第に辺りも暗くなり始めると薄気味悪くなり、2人は怯え始めました。すると眠りの精が現れ、2人は仲良く寝てしまいます。

第3幕:森の中
露の精が2人を起こします。2人とも同じ14 人の天使の夢を見たそうで、すごく不思議がっていました。すると霧が晴れはじめ、森の奥にお菓子の家が見えてきました。
2人はそのお菓子の家に近づくと、「天使の贈り物」だと言い、お菓子に家の一部を食べ始めてしまいます。中から聞こえてくる声を無視してお菓子を食べ続けていると、中から魔女が出てきて、ヘンゼルを捕まえてしまいます。魔女は嫌がるヘンゼルに、お菓子をたくさん食べて太りなさい、と言います。グレーテルはすきを見てヘンゼルに逃げようと叫んで走り出しますが、魔女は呪文を唱えると、2人は動けなくなり、捕まってしまいました。
ヘンゼルには太らせるために食べ物を与え、グレーテルには小間使いにするために呪文を解きます。グレーテルに食事の支度をさせると、魔女は得意になって飛び回ります。戻ってくるとヘンゼルが太ったかを確認するために指を出せますが、指の代わりに小枝を出して見せます。太っていない状態では仕方がないからグレーテルから食べようか、と言いはじめ、グレーテルにかまどの中を確認させます。なんとグレーテルは魔女の魔法を覚えており、こっそりその呪文を言ってヘンゼルの魔法を解いてあげると共に、魔女に対しては、かまどの中の見方がわからない、と言いました。魔女は、かまどはこうやってのぞくんだよ、とかまどの中に頭を入れた時、2人で力を合わせて、なんと魔女をかまどの中に押し込み、閉じ込めてしまいました。
2人は喜んでいると、かまどが爆発し、お菓子の家がたちどころに消えて無くなってしまいました、そして同時に、呪文で動けなくなっていたたくさんの子どもたちが現れました。グレーテルは覚えていた呪文を唱えて、みんなを動けるようにしてあげました。子どもたちは感謝してはしゃいでいると、ヘンゼルとグレーテルの両親が探しにやってきて、無事を喜び合います。グレーテルに助けてもらった子どもたちは、魔女が焼きあがったお菓子を持って出てくると、神に感謝しつつ、踊り始めながら、幕となります。


前奏曲は、物語を凝縮しているパターンのもので、重要なライトモチーフが出てくるそうです。前奏曲をしっかり聞くと、最後まで楽しめる幅が広がりそうです。


オーケストレーションが、さすがに厚めなのと、曲の作り方は、やはりワーグナー先生を髣髴とさせるような響きの箇所が多く出てきます。

記憶に残りやすい音楽は大変多く、ワーグナー先生の作品より、絶対に上演頻度・回数は多いはずw



本日の音源は、コチラからどうぞ。


本日もご来店いただきまして誠にありがとうございました。

またのお越しをお待ちしております。

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