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マノン(マスネ)

ようこそ、CLASSIC BAR VERSTECKへ。


さて、"本日のオススメ"は、マスネ作曲の『マノン』です。(数字は19-372・名曲解説全集第19巻-P370)


ジュール・マスネ先生。1842年-1912年(70歳)のフランスの作曲家ですね。

意外と初登場みたいです。

ボーイト先生が同じ年の生まれで、前年にドヴォルザーク先生とシャブリエ先生が生まれ、翌年にはグリーグ先生が生まれる、そんな時期の方です。


最初は優れたピアニストとして頭角を現しました。

なんと11歳ころには、パリ音楽院へ入学。

そして、20歳ころに、『カンタータ「ダヴィッド・リッツィオ」』でローマ大賞受賞。

順調じゃないですか!


ところが、この後10年近く、途中戦争への従軍期間を挟みつつ、オペラやオラトリオ劇などは書いて発表していましたが、成功を収めるところまではいきませんでした。ただ、徐々に認知はされていたようです。

いずれにしても、最初の成功がカンタータだったことも踏まえると、声楽を含む曲の創作に優れていた事は間違いないのでしょう。


そんな先生が一気に逆転劇を開始するのが、オペラ『ラオールの王』。先生、35歳ころのお話。

そして、翌年にはパリ音楽院の作曲家教授になります。急展開ですね。


『エロディアード』という作品を経て(もちろん成功)、42歳ころに完成したのが、本日の曲『マノン』です。この作品をもって大成功をおさめ、その名声は国際的なものになりました。

フランスで、単発の成功者はたくさんいますが、作曲家で「オペラの人」と言ったらマスネ先生くらいでしょうか。


作風としては、ワーグナー先生のライトモティーフの技法を使用しましたが、これにフランス風の軽妙さと叙情性と繊細さを加えた甘美なメロディーと、情熱的なドラマが見事に管弦楽法でまとめられ、世界で最も人気のあるオペラ作曲家としての生涯を過ごす事になりました。


そんな先生の大成功者にした立役者が、本日の曲『マノン』です。

フランスの小説家プレヴォ先生の小説「マノン・レスコー」を題材にしています。プッチーニ先生、オベール先生も同じ素材からオペラを作曲していますね。

この先生面白い人のようで、軍隊→聖職者→小説を発表→修道院を出て放浪→また司祭…などの面白い人生を送っている方。その人が書いた小説なのだとしたら、面白そうですよね。


<登場人物>

マノン:主人公、マノン・レスコー

騎士デ・グリュー:

伯爵デ・グリュー:騎士デ・グリューの父

レスコー:マノンのいとこ、近衛士官

ギヨー:お金持ちの貴族

ブレティニ:ギヨーの友人で貴族


<あらすじ>

フランス北部のアミアンというところの、宿屋の中庭
アミアンギヨーさんとブレティニさんが、女優をかこって食事をとっていました。そこに、駅馬車に乗ったマノンさんが到着します。女性好きのギローさんは早速マノンさんに声をかけに来ますが、マノンさんは取り合いません。そうこうしているといとこのレスコーさんが迎えにきて、ギローさんは退散し、ひとしきりの忠告ののち、ちょっと用があると言って、一勝負に出かけてしまいます。マノンさんは一人待っている状態。そこに、騎士デ・グリューさんがそろそろ出発の時間だと言って現れ、2人は一瞬にして恋に落ちます。マノンさんはこれから修道院へ送られると打ち明けると、騎士デ・グリューさんは行ってはいけないと言い、そのままパリへ逃げていきます。
ちなみにマノンさんは、家で軽はずみで享楽的だと言われた結果、修道院に送られることになっていたのでした。

パリのアパート
騎士デ・グリューさんは、父である伯爵デ・グリューさんに結婚の許しを請う手紙を書いています。そこに、レスコーさんとブレティニさんが現れ、マノンさんを誘惑したと罵ります。デ・グリューさんは、マノンさんと結婚をするつもりである事を告げ手紙を見せていると、その間に、ブレティニさんが、騎士デ・グリューさんは、「今夜父の命で家に連れ戻される」「自分と一緒にいればもっと裕福な暮らしができる」と誘惑をします。騎士デ・グリューさんは手紙を出しに出かけ、来訪の2人も出ていき、マノンさんが1人残ります。出ていく心を吐露すると、騎士デ・グリューさんが戻ってきます。ノックの音が聞こえ、騎士デ・グリューさんが出ようとすると、マノンさんはそれを止めようとしますが(やっぱり一緒にいたいという思い)、事情を知らない騎士デ・グリューさんはドアを開けると、そのまま連れ去られてしまいます。

セーヌ川近くのレーヌ通り
ブレティニさんの愛人になっていたマノンさんは、偶然伯爵デ・グリューさんに出会い、騎士デ・グリューさんは過去を忘れて神父になったと聞かされショックを受けます。マノンさんの歓心を買おうとオペラ座のバレエを呼ぶも、マノンさんは見向きもせず、騎士デ・グリューさんのいる修道院へと行く決意をします。
サン・シュルピス神学校
立派な神父となった騎士デ・グリューさん、父も満足して遺産を与えると。ただ実は、過去の愛を忘却しきれていなかったのでした。騎士デ・グリューさんが礼拝堂に入ると、マノンさんが現れ、騎士デ・グリューさんは立ち去るように伝えるも、マノンさんの情熱的な言葉に押され、再び駆け落ちをします。

ホテルの大広間
ここでは賭博が行われており、レスコーさんや、ギローさんも賭博に興じています。そこに、騎士デ・グリューさんとマノンさんが現れます。遺産を持った騎士デ・グリューさんとマノンさんは、派手な生活に慣れてしまっていましたが、その遺産も底を尽きてしまいました。マノンさんはここで稼ごうと連れてきたのですが、気乗りしなかった騎士デ・グリューさんも、マノンさんに押され、賭けを始めます。ところが、騎士デ・グリューさん、この日絶好調でドンドン勝っていきます。これに怒ったギローさんはいかさまだと言って出ていくと、警察を呼んで戻ってきて、共犯だと言って騎士デ・グリューさんとマノンさんを逮捕するよう要求。それに対し当然怒っている騎士デ・グリューさんさんでしたが、伯爵デ・グリューさんが立ちはだかると、意気を失い、2人は逮捕されて連れていかれてしまいました。

ル・アーヴルに通じる街道
騎士デ・グリューさんは、父の計らいですぐに釈放されましたが、マノンさんはアメリカにあるフランスの植民地への流刑となってしまいます。騎士デ・グリューさんは、マノンさんを奪回しようと、ル・アーヴル港に通じる街道でレスコーさんと待ち伏せしていますが、急襲のために集めた男たちが逃げてしまい、絶望します。そこへマノンさんが登場すると、レスコーさんは気を利かせて護送兵の隊長にお金を握らせ、話す機会を与えてもらいました。マノンさんは、病気と、囚人としての扱いという過酷な状況ですでに憔悴していましたが、思いがけず出会えたマノンさんは大喜びし、涙ながらに許しを請いました。2人はこれまでの楽しく美しかった日々を思い出しながら、騎士デ・グリューさんは一緒に逃げようと言うも、死期が近いことを悟っているマノンさんは、この愛が嬉しく、これで幸せに死んでいけると答えます。その後も愛を語りあいますが、ついにマノンさんは、「これがマノン・レスコーの物語」と言って息途絶えます。絶望のあまり、騎士デ・グリューさんはマノンさんの体の上に倒れると、そのまま幕となります。

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オペラなんであれですけど、なんか、もっとうまくやれたんじゃない?って思ってしまいますね。切なすぎるでしょう。


5幕の大作です。日曜の昼下がり、ゆっくりとご鑑賞ください。



本日の音源は、opera 4allさんのチャンネルを視聴しながら書き進めてきました。ありがとうございます。※日本語字幕はありませんが、英語字幕があります。


本日もご来店いただきまして誠にありがとうございました。

またのお越しをお待ちしております。

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