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ピアノ三重奏曲第2番ニ短調「悲しみの三重奏曲」(ラフマニノフ)

いらっしゃいませ。

ようこそ、CLASSIC BAR VERSTECKへ。


さて、"本日のオススメ"は、ラフマニノフ作曲の『ピアノ三重奏曲第2番ニ短調「悲しみの三重奏曲」』です。(数字は26-305。名曲解説全集補2巻P303)


セルゲイ・ラフマニノフ先生。1873年-1943年(69歳)の、ロシアの作曲家ですね。


音楽の素養のある父を持ち、姉の家庭教師に才能を見出され一時期はピアノのレッスンも受けていましたが、一家の破産(もともとは裕福な貴族系の家系だった)、両親の離婚など、なかなか波乱の子ども時代を送ります。

ペテルブルク音楽院に入学しますが、リストの高弟ジロティ先生の勧めで、モスクワ音楽院に移り、ピアノと作曲を学びます。


18歳ころにはピアノ協奏曲第1番を作曲。天才ですね。

そして、モスクワ音楽院でピアノ科では第1位を取り、作曲科の卒業作品制作としては最優秀作品で金メダルを取りました。

卒業後の20歳ころに作られた作品が、本日の曲『ピアノ三重奏曲第2番ニ短調「悲しみの三重奏曲」』。

この数年後に、交響曲第1番が書かれ、今では人気ですが、初演は酷評されます。

そんな流れの中に位置づけられる作品です。


作曲の経緯は、ラフマニノフ先生に大きな影響を与え、敬愛していたチャイコフスキー先生の死を悼んで作られました。チャイコフスキー先生はルビンシュタイン先生の死に際し『偉大な芸術家の思い出』のピアノ三重奏曲を作り、ラフマニノフ先生はチャイコフスキー先生の死に際し『悲しみの三重奏曲』を作りました。

ラフマニノフ先生、室内楽をあまり作っていません。

そんな先生がこのトリオを作った、それだけでも意気が伝わってきます。


少年時代よりチャイコフスキー先生に敬愛の念を抱き、多くの作品にチャイコフスキー先生の作風が投影されています。

そしてモスクワ音楽院作曲家の卒業課題として渡された歌劇『アレコ』は、その年の最優秀作として、金メダルを受賞。チャイコフスキー先生もこの作品を高く評価し、ボリショイ劇場での初演に尽力してくれました。

そしてキエフでの初演の指揮を終えると、チャイコフスキー先生の訃報を聞きます。その日(10月25日)から『悲しみの三重奏曲』の作曲を開始し、1ヵ月半ほどで完成。

さらに、34歳頃に改定を、44歳頃にもまた改定を行っています。

45分~55分ほどの大曲。


いかにこの曲への思い入れがあるかが伝わってきます。


曲は、専門的な方が聞くと、まだまだ弦楽器の使い方などが充分ではないなどの記載が見られますが、ベースは20歳ころに作った曲ですから、ねぇ。

大きな流れでいうと、強弱・緩急・長短などの起伏がかなりあり、感情的なものが投影されているのかなー、と素人感想。

他の同時代の作曲家とは違い、ロマン主義的な要素が強い作曲家だそうですが、まさにロマン主義的な感じ満載の良い曲だと思います。チャイコフスキー先生に向けて作った作品としては、最高じゃないですか。


本日の音源は、eno noriさんのチャンネルを視聴しながら書き進めてきました。ありがとうございます。


本日もご来店いただきまして誠にありがとうございました。

またのお越しをお待ちしております。

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