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弱きもの、汝の名はビールなり

ビールはデリケートな飲み物だ。

光にも熱にも振動にも弱く、輸送や保管状況がコンディションに悪影響し、どんなに慎重かつ丁寧に扱っても、少なからず香りや味わいの劣化をまねく。
過酷な空路や海路で国外から遠路遥々運ばれてくる輸入ビールはもちろん、ほぼ陸路のみの国内のビールも例外ではない。

光による劣化

ビールは紫外線に弱い。

紫外線を浴びると、日光臭と呼ばれるオフフレーバを生ずる。紫外線によりビールの苦味成分が化学変化し、蒸れた獣毛の臭いに例えられる悪臭を発するのだ。ピルスナーやライトラガーでは致命的ともいえるオフフレーバだ。

苦味成分はビールの泡保ちにも重要な役割を果たしているため、紫外線の影響により泡保ちも悪くなる。

これを防ぐためにビールのボトルは濃い茶色や緑色をしているが、ボトルは完全に不透明ではないため、紫外線対策にはカンの方が優れている。

熱による劣化

ビールは熱にも弱い。

高温にさらされると、酸化臭と呼ばれるオフフレーバを生ずる。熱により酸化し、濡れたダンボールに例えられる悪臭を発する。

船便で輸送されるビールは赤道を通る。日本の夏は暑い。
ビールの輸送において、高温は避けがたいのだ。

熱は容器だけでは防げない。これに対処するため、サーモコンテナ(断熱)、リーファコンテナ(冷蔵)が用いられる。とてもコストがかかる。

振動による劣化

ビールは振動にも弱い。

振動はビール液中に溶け込んだ炭酸を分離させる。つまり、気が抜ける。

ランビックやインペリアルスタウトのような炭酸分の少ない(カーボネーションの低い)ビールなら、振動の影響が少ないかもしれないが、ピルスナーやライトラガーでは「キレ」や「喉ごし」のために適度な炭酸が必要なため、振動は大敵である。

現地に赴くビアギーク/ホップヘッドたち

流通には必ず輸送と保管があり、劣化のリスクは常につきまとう。輸送と保管に関わるすべての業者が最善を尽くすわけではない。
そのため、取り返しのつかないところまで進行したビール廃人は、現地にビールを飲みに行くのだ。

造ったところに行ってビールを飲めば、劣化してない本来の香りと味わいを体感できる!

行くがいい!

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