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ビールとグラス

所謂クラフトビールのブームによって、ビールの香りや味わいを楽しむ飲み方が普及浸透しはじめ、そのためにビアスタイルに適したグラスはこうだ、みたいな文章や語りを目耳にする機会が増えたような気がしないでもない。

確かに、繊細な香りのビールにはスニフターチューリップの鼻先に香りが集まる形状が適しているだろうし、強く華やかな香りのビールにはカリスゴブレットの広口が適しているだろう。
ヴィットビアやピルスナーは温くなりにくい厚手のタンブラーや取っ手付きのマグが良いし、IPAグラスにはちゃんとIPAを楽しむに適した工夫がなされ(落差による加速と渦を描きやすい構造)、ベルギーのビールにはそれぞれの醸造所から専用のグラスが提供されていることが多い。

こうした特別なグラスは、ビールの特徴を際立たせ、香味をより強く感じさせる効果を持つ場合がある。
しかし。果たしてそれはそのビール本来の香りと味わいなのか。

特別なグラスによる効果をエレクトリック・ギターのエフェクターに例えている方があり、なるほどと思った。
そしてアンプを通しただけの素の音に当たるものが、所謂パイントグラス、何の変哲もない寸胴タンブラー(あるいはノニックグラス)だとも言い、これもなるほどと思ったのだ。

クラフトビール・ファンのなかには、パイントグラスでビールを供する店を批判する人達もあり、その主張も理解できないでもない。

まあ誰しもがビールのテイスティングをするわけでなし、飲んだビールの香りや味わいについて気の利いたコメントをしなければいけないわけでもない。
ただ単に「旨い」だけで、ビールを楽しむには充分だろう。

と、長々と語ってきたことを全部放り投げてみた。

さて、ビール飲んで寝よう。

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