ブレーメン良かった
ヨルシカのブレーメンめっちゃ良かったですよね。
この曲は文学シリーズの4曲目にあたる曲で、「ブレーメンの音楽隊」をオマージュした楽曲観になります。
そもそも「ブレーメンの音楽隊」がどんな話かというと
行く宛のなくなった動物たちが仕事のため結託して音楽隊に入ろうとしていたら、道中で泥棒の棲家を発見する。そいつらを追い出して住み着いたところ家の住み心地が気に入ってしまい、その後は動物たちだけで仲良く暮らしました。
という話です。
なかなか無茶な話なのですが、個人的にはこれが結構気に入ってるんですよね。
この話において重要なことは、音楽隊になることではなく食いっぱぐれないことです。
要するに、音楽隊になることは手段の一つであって、目的はあくまで安定的な生活です。
個人的に、この話は目的設定の馬鹿らしさみたいなものを唱えている気がします。
行く宛がなくなるのも誰かのせいであって、そんな状況で一生懸命に頑張ったとしても損しかないです。
そういうときはまた誰かに押し付ける、他人のエゴに自分のエゴを乗せて後は知らんぷりをする、というくらいの方が笑ってられると思います。
そういう風に世界は回ってる、くらいに考えたほうがいいかもしれないですね。
こういう作品が前提にあることを理解した上でヨルシカのブレーメンを聴くと、また聞こえ方に厚みが生じます。
特に春ひさぎみたいなピアノの鳴り方が、脳の倫理観をトントンされてるみたいでいいです。
またボーカルのsuisさんはラジオで「この曲で人を救いたい」と仰っていたのですが、この曲なら救えると思います。
そもそも救いとは高望みして手に入れるものではなく、一歩下がったところで見つけるものだと思っているので、適当に笑ってるだけで救われるならこれ以上なく簡単です。
ラジオを聴いている感じ、多分suisさんは素がそんな感じの人だと思うので、そういう人がこの歌を歌うだけでやたら説得力があります。
あとはミュージックビデオの見せ方が好きです。
足元を映すだけでその人の人柄と場所と心模様が現れる、というのが面白かったです。
だから僕は音楽をやめたのエイミーがいたり、盗作の夫妻っぽい二人がいたり、あとは知らない人ですが、だいたいの境遇はこれだけで読み取れます。
石を蹴ったり、爪先立ちしたり、人の心境は意外と足元に現れるんですね。
ちなみにあのハイヒールの子と付き合いたいんですけど、なんとかならないですかね。
それと現実を見せつけるような描写も多いですね。
タバコの吸い殻が大量に地面に捨てられているのを見たときは、水曜日のダウンタウンで尼崎の汚い環境が映ったときの「こんなん映す?」という尼崎出身の浜田のツッコミが頭に響きました。
文学シリーズはまだ全体像がはっきりしておらず、考察をしようと思えばいくらでも出来そうなのですが、とりあえずこの曲は単体で楽しい曲、ということでいいと思います。
それにしてもいい曲ですね。
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