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行政書士試験の記述式を 実際の出題例で検討してみた

滝川沙希です。
今回は、記述式試験について紹介します。出題例を検討していきますので、初学者の方は、読みとばしていただいて構いません。

部分点を狙う

記述式は、「満点狙いはかなり難しいが、計60点という配点を見ると、丸々捨ててしまうわけにはいかない」というところです。もちろん、択一式でかなりの高得点を得ることができるからと、ノープランで臨む方もいるでしょう。

しかし、対策できるのであれば対策しておきましょう。どうするのかというと、もちろん部分点狙いです。部分点を狙うためには、キーワードに着目していけばよいということになります。

出題例

平成27年の出題で見ていきましょう。問題文の末尾に着目します。

「・・・このような事情において、Cが自分の子でないことを確認するため、Aは誰を相手として、いつまでにどのような手続をとるべきか。民法の規定および判例に照らし、とるべき法的手段の内容を 40 字程度で記述しなさい。」とあります。

相当程度、解答すべき事柄が誘導されていることが分かりますね。この誘導がキーワードになります。誘導に乗っていきましょう!

「相手」は、問題文のBやCが該当するかを頭の中にある知識を動員して思い出します。相手として検察官はでてきません。択一式の知識です。

そして、「いつまでに」は、とるべき法的手段から逆算して思い出します。嫡出否認の訴えは、出生を知っていから1年ですから、ああこの話だなと納得します。1年以内と書けばよいですね。やはり択一式の知識です。

あとは、そもそも法的手段の内容が思い浮かぶかどうか。

勉強が進んだ方でないと難しいのですが、正解である「嫡出否認の訴え」と似たものに「親子関係不存在の確認の訴え」というものがあります。
後者は、いわゆる推定の及ばない子に対して用いる法的手段ですが、問題文に「確認するため」という語があり、受験生を大いに不安にさせたことでしょう。

実は、問題のようなケースでこの「親子関係不存在の確認の訴え」を用いることができないことは、判例が示しているのです。たしかに問題文に民法と判例に照らせと書いてありますね。確認の訴えはとることができないことになります。これも隠れた誘導なんでしょう。

この辺りは、択一式対策で勉強すると、混乱しがちな点なので多くの方が整理しておいたはずです。

模範解答

行政書士試験研究センターの解答は次のようになっています。

「BまたはCを相手として、Cの出生を知ったときから1年以内に、嫡出否認の訴えを提起する。(43字)」

家族法という分野からの出題である点、問題文にヒントと引掛けが示されているという点で、面白いと思い紹介しました。

まとめ

問題文のキーワードに反応して、必死で思い出し部分点をもぎとるスタイルで臨むのが、記述式に対応する一方法だということを紹介しました。

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