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行政書士試験 「エアー条文」や「玉石混交選択肢」に負けないように過去問演習を繰り返す

滝川沙希です。
今回は、間違いを誘いやすい出題方法を例に挙げつつ、その対処方法を紹介します。

エアー条文

これは私の造語です。実際には存在しない条文のことを指します。
エアー条文を行政法を題材にみてみましょう。平成22年問題22は次のように出題されています。

「指定都市は、必要と認めるときは、条例で、区の議会を置くことができる」

指定都市(地方自治法252条の19)に区を設置できる(同法252条の20)ことは間違いないのですが、区の議会を置くことはできません。
区の議会について、条文は何も規定していません

判例についても、同様の出題はありえます。「大体はあっているけど、そんなことまで、言っていたってけな?」と受験生を引掛けるわけです。

玉石混交選択肢

玉石混交選択肢も私の造語です。選択肢の中に玉(正しい情報)と石(誤った情報)とを混ぜることで受験生を混乱に陥れるやり口です。選択肢の多くはこれなんですが、平成23年問題16をみてみましょう。

「A県収用委員会は、起業者であるB市の申請に基づき、同市の市道の用地として、2000万円の損失補償によってX所有の土地を収用する旨の収用裁決をなした。Xが土地の収用そのものを違法として争う場合には、収用裁決の取消しを求めることとなるが、この訴訟は、B市を被告とする形式的当事者訴訟となる。」

問題文を読むだけで嫌になりますね(笑)誤りです。問題文の末尾にある形式的当事者訴訟が誤りで、取消訴訟を提起すべきだからです。形式的当事者訴訟という石が混じっています。残りの記述は正しいのですが。

形式的当事者訴訟になるのは、損失の補償に関する訴えなのです(土地収用法133条3項)が、当事者訴訟というなじみのない言葉を勉強したうえに、土地収用法の「損失の補償」などというさらになじみのない言葉が出てくるのが、この辺りの勉強です。

受験生は、その結果、「土地の収用関係では、当事者訴訟だったかな?」という雑な暗記にとどまってしまう方が多いことを、出題者は知っているのです。

このような箇所は、テキストを勉強するだけではなかなか習得できないものです。もちろん、テキストで正確な知識を理解することまでは、多くの方がどうにか到達するのですが、その先のステップに続くのが難しくなります。

その先のステップというのは、似た概念を区別して暗記するというものです。このことを具体例に即して書けば、
①当事者訴訟という類型を他の訴訟類型と区別し正確に理解する。
②形式的当事者訴訟と実質的当事者訴訟とをさらに区別し、
③各々の具体例をおさえる(暗記する)。

ということになります。書けば長くなりますが、合格者は問題演習を繰り返すことで、身体に馴染ませています。
皆さんにもできます。面倒なだけです。難しいことではないと捉えて下さい。

まとめ

面倒だな、と感じ始めたら、そこが正念場です。概念を区別して暗記しましょう。



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