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映画とわたしたち

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映画及びドラマに関するエッセイ。(昔は批評めいてました)
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#ネタバレ

『君たちはどう生きるか』

 わたしにとって「物語」そのものの原初イメージはそれこそ森の中にたった一人迷い込んで、いろいろあって泥だらけになって笑顔で帰ってきて、みんなそこそこ無事にてんやわんやしている、悪いやつもなんかかわいくデフォルメされて友達になり、そのあと少しの静寂とともにその物語を振り返る、というまんま『千と千尋の神隠し』だったのだということに、今作のラストを見ていて気が付いた。わたしは明らかに新海誠のファンであるし、彼の『天気の子』を観た時「これぞ!自分の望んでいた物語!」と思ったのだが、そ

『すずめの戸締まり』

 まず、新海誠が言っていた「物語に没入させるためのものづくり」は確かに成功していた。TOHOシネマズ日比谷に11/4より導入されたIMAXレーザーの効果が大きいことは否めないが、それを踏まえても、久々に集中して映画を観られたと思う。まさに、全身全霊。観終わった後立ち上がれなかったのはいつぶりか。新海誠はやはり特別な作家なのだ。その彼が、ここまでヒットを飛ばしているという事実がまずは嬉しい。 畏れるということ  それにしても、簡単に感動をさせてくれない設定だと思った。傍観者