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映画とわたしたち

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映画及びドラマに関するエッセイ。(昔は批評めいてました)
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#文章

『花束みたいな恋をした』

 いい映画というものは、鑑賞直後のテンションの高まりから「これは自分の人生史上最高の作品だ…!」という感覚に陥りやすい。地下に存在するテアトル新宿から、光溢れる昼間の新宿の街へ抜け出たりすると、どうしてもその映画のおかげで視界がひらけたという気になってしまうが、実際は光の加減に過ぎない。  『花束みたいな恋をした』については、敬愛する坂元裕二氏が脚本を書き下ろしており、それも菅田将暉と有村架純がいわば普通の大学生を演じるというのだから、これほど地に足ついたラブストーリーは未

『天気の子』

 『君の名は。』が大好きだったんです僕。この映画と『グレイテスト・ショーマン』は観た後には、底抜けた明るさが自分の中に芽生える。特に前者『君の名は。』は物語の展開の仕方があまりに美しく、遊園地のアトラクションに「アニメーション映画」という施設が加えられた感覚だった。  そんな前作を経て新たに書き下ろした『天気の子』について、事前インタビューで新海誠監督は「前作以上に批判を受ける作品にしたい」と言っていた。『君の名は。』を批判した人がより怒るような作品を、ということらしい。さ