『花束みたいな恋をした』
いい映画というものは、鑑賞直後のテンションの高まりから「これは自分の人生史上最高の作品だ…!」という感覚に陥りやすい。地下に存在するテアトル新宿から、光溢れる昼間の新宿の街へ抜け出たりすると、どうしてもその映画のおかげで視界がひらけたという気になってしまうが、実際は光の加減に過ぎない。
『花束みたいな恋をした』については、敬愛する坂元裕二氏が脚本を書き下ろしており、それも菅田将暉と有村架純がいわば普通の大学生を演じるというのだから、これほど地に足ついたラブストーリーは未