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40・R・Stones好きのスピリット・5~Waiting On A Friend 


*不良が金を手にする方法

学校に逆らい親に逆らってるおかげで、タタオの金欠ぶりはピークに
当時、タタオのお小遣いは月三千円。一日一回ジュース飲んだら、それで終わりだ。

不良と呼ばれる人たちはとにかく金がかかるらしい。
みんなで、「ご飯食いにいこーぜ」といったところで、おにぎりを持っていけるわけもなく(本人が言ったのだ。本当はおにぎりでも持って行きたかったのかもしれない)カッコつけで吸うタバコ代だってかかる。
改造してある制服代なんて親が出すわけもない。(親は買った覚えはないが、先輩にもらったり、私が直したこともあったような)
中学生のタタオは 当然通常のバイトもできない。

小遣いアップの要求に、父親はあるバイトを提案した。
これは、毎晩6時に夕飯に帰ってくる息子だから出来たのだ。

タタオが始めたバイトは夕飯が終わるころから開始だ。
花柄のエプロンをつけて、もくもくと食器洗いを始める
洗う洗う、ゆすぐゆすぐ、拭いて拭いて、お米を研ぐ砥ぐ。
そう、タタオのバイトは、わが家の夕飯の食器洗い+αである。
食器を洗って拭いて、生ゴミを捨て、翌朝のお米を研いで炊飯器にセットする。これで百円。
しかも、頼みもしないのに調理台まできれいに拭き上げ、仕事ぶりは私よりきれい。

友だちが来て「夜の街にでも繰り出そうぜ~」と言っても
「ちょっと、仕事片して行くから、タバコでも吸ってて待ってて」
中学生というよりは、新橋のサラリーマンのような会話である。
本人はいたって真面目なのだが、花柄のエプロン姿のタタオに
友だちも大爆笑。
キキコが景気よくコップなどを使おうとすると、
「今使ってたやつを洗って使え! 誰が洗うと思ってんだ」と一喝。

しかも、父親からは
「いいか、仕事というのは、今日やっても明日はやるかどうかわかんないじゃ、給料はもらえない。一日でも休んだらその月のバイト代は払わないぞ」との厳しいお達し。

休みがないなど今なら問題だが、夫は、子供のころから休みのほとんどない新聞配達をしていて、キビシー環境を生き抜いてきた。夫にとっては休みがないなど当たり前のことなのだ。(なにせ、夫はクラブ活動をやりたくても夕刊の配達があるから出来ないし、朝練も朝刊の配達でもちろん無理。稼いだお金は家に入れてたから遊ぶ金もない)

タタオ、このとき、働くことの大変さを中学生にして学ぶ。

高校生になり、外でバイトが出来るようになると、たまに頼んでも
二度と手伝ってくれなかった。
タタオ「オレはもう十分に手伝ったよ。
あんな死ぬほど割りに合わないバイト!
時給二百円くらいだぜ~。
でもあんときは、三千円の小遣いの他に、もう三千円もらえるのが、すげえうれしかったんだよな」

あの当時息子は不良だったけど、毎日ちゃんと夕飯の後片付けする姿を見て
「こいつは信用できる」と 私も思うようになったのだ。


ストーンズだっていろいろあったが、とにかくコツコツと音楽を作り続け
ライブを続けた結果が、今のストーンズだ。
そう、続けるって大事なこと!



タタオが食器洗い終るのを、友達が待っていたから
Waiting On A Friend



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