17・高校生活・校内美化の結末は

 
高校生のタタオ
「最近、タバコ代ぐらいは、いつでも手に入れられるんだよ。
高校に空き缶回収機置くようになってさ。空き缶1個入れると十円出てくるんだ。けっこう金になってさ、千円くらいすぐ貯まるんだよ」
 
タタオの行ってた高校は、なかなか面白い高校だったらしい。
駅前のパチンコ店のイベントの日は、なぜか午前中 生徒の欠席が多い。(因果関係はわからないが、負けたヤツから学校へ来るというウワサも)
1限目の出席は、教室で取るより 駅前のマックで取ったほうが断然出席率がいい(もちろん、喫煙席)。
教室に馬券が落ちている、ゴミ箱にはエロ本が捨ててある。
と、こんな具合なので、校内はどんどん汚れていく。
 
そこで、学校が 校内美化の一環として空き缶回収機を設置した。
たちまち、生徒たちは校内にある空き缶はすべて集め、金に換えていく。(ここまでだったら校内美化の目的は達せられたのだが)

だが、空き缶というものは、誰かが買ってポイ捨てしない限り、数に限りがある。
となると、学校だけではなく学校近くのコンビニのゴミ箱、パチンコ店のゴミ箱などが次々と校内に持ち込まれる。
今や学校近くの空き缶は貴重品と化し、
最終的には、駅周辺から空き缶を集めつつバスに乗って 学校まで持ってくるらしい。

もはや空き缶回収機の前は、「行列のできるお金交換所」である。
先生も、まさかこんな展開になるとは考えもしなかったんだろう。
 
しばらくして「空き缶集めはどう?」と聞いたら、もう学校に空き缶回収機はなく、もとのポイ捨て学校に戻ってたそうだ。
 

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