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12・94才にして、冗談の切り返しを学ぶ

夏の初めころ 母は 「歩きたくない」と言って外へ出なくなった。
人の役に立ちたいのに 思うように働けなくなって 気持ちも落ち込んでいるらしかった。

私が「歩かないと寝たきりになるよ」と言っても
「その前に死ぬ」などと言う。

母が「お父さんに、『早く迎えに来て』と毎日祈ってる」と言うから
「私も毎日、お父さんに『お母さんを迎えに来るのはまだ早い』と祈ってるから、そうそうお母さんの願いは聞き届けられないかもね」と言ってやった。このコロナの時期に死なれたら 困るよ、ホント。

そのうち夫に
「お義母さん、歩かないと筋肉がおちて寝たきりになるよ」と言われた。そしたら、次の日から 散歩に誘うと歩くようになった。
娘だと甘えがあるが、夫に言われると
寝たきりになって迷惑かけたら大変”と思ったらしかった。
そしたら気持ちもシャンとして、けっこう歩けるじゃないの! 
家事も、前向きにやるようになった。


夫がお風呂の後パンツ一丁で出てきて 母に
「いやあ、お義母さん、ブラジャー着けてなくてすみません」
などと言ってからかうと、
「ブラジャーも買ってあげなくてすみませんねえ」
などと切り返すようになった。

マジメ一筋で生きてきた母もすごい進歩じゃないの、
94才になってこんな冗談の切り返しができるとは!
 
と、夫と私で、母をほめる。

母が元気になってよかった。夫のおかげじゃん。
もうコイツとは暮らしていけん などと思ってごめんなさい。
あなたと暮らしてるおかげで母は元気なのね。


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