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人脈は、忘れたころに役に立つ。/今週の、いちばん。72

僕にとって、仕事とは、「持ち込み原稿」のようなものだ。
ある日いきなり、誰かが「こんな仕事があるんだけど…」と、話を持ち込んでくる。
個人事業主になってからいただいた仕事は、ほぼそのパターンだ。
そういう意味で、これまでに築いた人脈が、だいぶ役に立っている。

ただ、最近よく考えるのは、「人脈は、すぐに役立つとは限らない」ということだ。

そもそも、僕に仕事を紹介してくれるのは、少々意外な人だったりする。
昔何度か飲んだけど、しばらく疎遠で、独立の挨拶もちゃんとしてない人。
あるいは、ただの友達で、今まで仕事の話なんてほとんどしたことがない人。
ビジネスとは関係なく始まった交友関係が、しばらく寝かせたら、いつのまにか取引先になっている。

もちろん、人脈さえあれば、あとは何もしなくてもいいということではない。
僕に仕事が持ち込まれるのは、やはり、「過去の仕事(あるいは今の仕事)」があるからだ。
以前にこういう本を作っていたから、セミナー講師をしていたのを見たから、相変わらず編集の仕事を続けているみたいだから…
それらの実績と、先方の事情がうまくはまったとき、仕事は急にやって来る。

最近、僕はゆるやかに、また人脈を作るようになった(といっても、単に、気になる人を飲みに誘っているだけだけど)。
もちろん、すぐに仕事をもらうこともないだろうし、こちらがすぐに頼める仕事があるわけでもない。
それでも、いざというときに、声をかけ合える関係を築いておきたい。
以前、<仕事を断るのは、「成長の機会」を断ることだ。>と書いたけど、仮に自分一人ではできない仕事でも、一緒に動いてくれる人がいれば、引き受けられるケースもある。

毎月、同じ給料が入るわけではない個人事業主をやっていると(まあ、僕は「二足のわらじ野郎」だが)、目先の銭を追って、なかなか長期の投資はしづらいものだ。
けれど、人脈にだけは、のんびりと、少しずつ投資していきたい。
忘れたころにそれは役立つし、なんなら役立たなくてもいい。
いつか一緒に仕事できるかもしれない仲間と飲むお酒は、それだけでうまいものだから。

今週のいちばん、未来の仲間と楽しく飲んだ瞬間。それは9月11日、神楽坂のバルで入れ替わり立ち替わり乾杯をした瞬間です。

*「今週の、いちばん。」は、その1週間で僕がいちばん、心が動かされたことをふりかえる連載です

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