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大人は、君の味方である。/今週の、いちばん。73

人生で、いちばん「自信満々」だった時期はいつだろう?
たぶん、大学生のころじゃないか。
当時の自分が、優れていたということではない。
現実の僕は、学業も部活もバイトも中途半端な人間で、狭い世界の中で虚勢を張っていた。
狭い井戸の中にいることで、フェイクな「自信」を保っていたのだろう。

自分が(年だけは)大人になってから、OB訪問などで、多くの学生に会うようになった。
そこで就活の相談が出ると、いつも言うのが「もっと、大人と話すといいよ」ということだ。
それは、若かりしころの自分を振り返っての教訓である。

大学時代、僕は好んで大人とは交わらなかった。
(当時)決して居心地のよくなかった実家と、合気道の部室と道場と、バイト先の地元のコンビニをぐるぐる回り、そんな生活で先述の「自信」を肥え太らせて、平たく言えば、皮肉屋の嫌な奴だった。
そんなんだから、就活なんて、うまくいくわけがない。
エントリーシート、筆記試験はなんとか通っても、面接で軒並み落ちた。

あのとき、もっと大人と話せばよかった。
自分が、なんの変哲もないただの一大学生で、しばしば世間知らずで、内心はコンプレックスの塊で…、そんなことを指摘してもらいながら、それでも出版しかないというのなら、何をすべきか。
頭を下げて素直にアドバイスを受けていれば、あれほど遠回りはしなかっただろう(僕は「大学4年生の3月」に、ようやく就職が決まった)。

いま、学生の相談に乗るとき、僕はバカ丁寧に資料まで用意してのぞむ。
世の中、僕みたいな人間だけじゃないだろうけど、「普通の大人」なら、将来を真剣に悩む若者に対しては、それなりに誠実な対応をするはずだ。
就活コンサルタントじゃないから、細かいテクニックは教えられないけれど、「大人が学生に求めること」くらいは伝えられる。
それが唯一の正解ではないが、他の大人に聞かれても、恥ずかしくないことは言っているつもりだ。

先日、縁あって、数人の学生さんと居酒屋で飲んだ。
お酒も入っているし、とりとめのない話を延々したから、けっきょく、なにが大事なポイントか伝わらなかったかもしれない。
でも、一つ言えるのは、そうやって「大人と話した」こと自体が、きっと、いい経験になる。

嫌な大人もたくさんいるかもしれないけど、いい大人もたくさんいる。
嫌な大人だと思えば、適当に流せばいい。
いい大人を見つけ、頭を下げて、素直に、真剣に話すこと。
一つでもなるほどと思えば、それを実践すること。
それだけで、人は変われると思う。
大人は、君の味方である。

今週のいちばん、大人の役割をはたした瞬間。それは9月18日、北千住の居酒屋で学生とアツく飲んだ瞬間です。

*「大人」つながりで、今週観た映画の写真をそえました。良作。


*「今週の、いちばん。」は、その1週間で僕がいちばん、心が動かされたことをふりかえる連載です

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