女の子の「東京タワーって高いね」に笑むお母さん。春はもうそこ!
稽古場近くに聳え立つ東京タワー🗼
僕は凛と立つこの鉄塔が大好きである。
高さでは倍近く離されたスカイツリーも何のその、俺が日本の躍進を引っ張ったんだと言わんばかりの威容がたまらないのである。
ひょんなことで六本木駅から稽古場まで歩くことになったその道すがら。
僕がいつものようにそれを写真に収め、坂を下り始めると、お母さんに手を引かれた4歳くらいの女の子の声。
「うわぁ東京タワーって高いね」
初めて見るそれに幼な子は感嘆の音を出して手を叩いた。
お母さんはそれに呼応するかのように、
「そうだね」
と握った手に力を込める。
その幼な子は今日の赤い頂の風景をいつまで覚えているのだろうか。
もうとっくに忘れているだろうか。
そして僕はその子の見上げた細い目をいつまで覚えているのだろうか。
交差点での一瞬の、そして最初で最後の出会い。
出会いというにはあまりに一方的だが、こういう瞬間が僕はたまらなく好きである。
にしても、お母さんの「そうだね」が秀逸でした。
「そうだよ」ではなく「そうだね」
「よ」は教育に針が行き、
「ね」は共有に針が向く。
そんなことを感じた冬の昼下がりでした。
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