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台湾史関連 新連載のお知らせ

夏の台湾らしい風景として、私が真っ先に思い浮かぶのが表紙写真の鳳凰花。これは高雄市愛河沿いです。日治時代の台湾でも、台南などでは鳳凰花の並木がそれは見事だったそうです。

さて近日中に、台湾のある書籍をご紹介したく、連載をスタートします。
タイトルは『代書筆 商人風』。2008年に台湾の遠流出版から発売された、ある台湾人の回顧録です。

 主人公は1907(明治40)年に今の台南市善化区に生まれ、2013年に逝去した孫江淮氏。代書とは、文書の代筆や書類の申請などを請け負う仕事で、今でいう行政書士に近いでしょうか。孫氏がこの職業でした。
 同氏については、私のアメーバブログの過去記事もご覧ください。

106年に及ぶ同氏の人生は、日本統治時代から戒厳令下、そして現代まで、まさに台湾史の生き証人といえます。特に日本統治時代の様子は、終戦当時子供だった80代90代とちがって、38才だった同氏の話は詳細で極めて貴重といえるでしょう。

 以前、日本語訳を出したい(その時はちゃんと翻訳家に頼むつもりで)と思い、ずいぶん出版社をまわったのですが、出版不況の中、話題性がないとして断られ続け、その後はしまったままでした。

 日本人でこの本を持っている人は何人いるでしょうか。台湾史の研究者なら、少しはいらっしゃるかもしれない、でもそういう方々の訳はやっぱり学術的な硬いものとなるでしょう。だったら「わかりやすさ」を第一の身上とし、そのうえご本人に4回もお会いできた私がやってみるしかないと思いました。

 中身はもちろん中国語です。私は翻訳家ではないため、きっちりした日本語訳はできません。また300ページ近い中には一般の方の興味をそそらない内容(法律や経済の話など)もあるので、おもしろくてためになりそうな部分にしぼり、なおかつ読みやすい意訳にしたものをご紹介していきます。
かなり長くなるので、途中軽く読めるものをはさむ予定です。
 清代、日本統治時代、そして戒厳令下と移り変わる台湾を、庶民の目線から描いた実録をお楽しみに。

1928年頃、20才前後と思われる孫氏。
100才過ぎでも、背が高くてイケメンを彷彿とさせるステキなおじさまでした。
ところで「代書筆 商人風ってどういう意味?」=フィーリング的なものと思っていいのでは。


 


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