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台湾原住民2~私が訪ねた原住民の村~

 原住民は、今は現代風の生活をしています。それでも彼らが多く暮らす中央山岳地帯や東部には、観光地化された村があって、彼らの文化に触れることができます。そのうち、私が行った場所をご紹介します。
◎表紙写真は、屏東県三地門の祭りで食べたチナブ(パイワン族のちまき)

*原住民村の基礎知識
衣:ふだんは一般人と変わらない服装ですが、観光施設や祭りでは伝統衣装を着用します。凝ったアクセサリーも見ものです。
食:山の幸を水煮か蒸すか焼いたものが多く、かつては調味料が乏しかった時代の名残りで、わりと薄味。素材の持ち味を生かした料理は、日本人の舌にも合いますよ。
住:一般住居は現代風ですが、観光客向けの施設は原住民色を売りにしています。山奥に行けば、伝統的な家屋群も残っています。

烏来(ウーライ)タイヤル族:台北から近くて行きやすい

 台北からMRTとバスで1時間あまりとアクセスが良く、川沿いに湧く温泉地としても有名です。飲食店や温泉ホテル(日帰り入浴あり)が並ぶメインストリートの先には、トロッコ電車も走っており、さらに山奥の風情を楽しめます。台北から近いのに驚くほど自然豊か、しかも温泉付きとくれば、一度は行かないと損。タイヤル族の博物館や専門料理店も、観光客に人気です。

三地門(サンディメン)パイワン族:水と緑とトンボ玉が美しい

 屏東からバスで約1時間。川沿いの山腹に広がる大きな集落です。パイワン族の伝統工芸品であるトンボ玉が有名で、工房&ショップがいくつもあります。原住民のインテリアを取り入れた民宿(プチホテルに近い)や、原住民料理店もいろいろあるので、1泊するのがおすすめです。

三地門で泊った民宿の中庭。渓流を利用した階段状の池に沿って、客室が配されていました。
山中天という原住民料理の店で食べた夕食のセット。
素朴な味わいながら、とても美味しかったです


 私は、2回目は8月の収穫祭(1ヶ月行うらしい)に行きました。会場では歌や踊りが延々と披露されるほか、周辺にはチナブや猪肉ソーセージ、民芸品などを売る屋台が出ていました。さまざまな衣装をつけたパイワン族が一堂に揃うので、とても華やか。

山の恵みに感謝する祭りらしい。
今は張りぼてですが、かつては本物の獲物だったのでしょう
「写真を」とお願いしたら、すかさずこのポーズ。
きっと「パイワン族の男は永遠に戦士」なのね
男性(手前)でも、正装時はこの華やかさ


台東県:素朴な自然の中に残る原住民文化

 人口の多い台湾島西部にはない、美しい自然が魅力の台東県。観光村はありませんが、人口の半分が原住民という地域がら、原住民文化をモチーフにしたホテルや店もわりと目にします。季節によっては、原住民のお祭りを見ることができます。
「池上(チーシャン)」は台湾屈指の米どころで、田園風景の中で楽しめるサイクリングが台湾人に人気です。池上駅前にはレンタサイクル店や駅弁屋があって便利。8月に訪れた時は、ちょうどアミ族の祭りをやっていました。これが音楽・踊りともほのぼのとして、本当に癒されました。

池上では、こんな美しい田園を見ながらサイクリングできます。
中央の自転車は、私が借りたもの
池上で見たアミ族の祭り。このシニアたちの踊りと曲が本当にほのぼのして、
いつまでも見ていたいほどでした


「知本(ヂーベン)温泉」は台東からバスで約1時間。日本時代に開発された温泉地で、川と山の環境が素晴らしい。一番のおすすめ宿は、ホテルロイヤル知本。地元一の高級ホテルで料金は高いですが、原住民の船や彫刻を飾った館内はきれいだし、ビッフェ式の食事も美味。夜はプユマ族やアミ族の舞踊ショーがあり、見ごたえ満点です。

知本温泉の宿は、川沿いの広範囲に点在しています。
施設もお値段もピンキリ


前回書いたように、蕃地勤務の状況を知りたくて原住民に興味を持った私ですが、現地を訪れてみて、豊かな自然と、そこで伝統を守って生きる人々の姿が心に残りました。彼らが今よりずっと伝統的な暮らしをしていた日本時代なら、原住民を見た日本人たちの印象も、より鮮烈だったでしょう。「山や大樹、獣にも八百万の神が宿る」という日本の信仰に通じるものも感じたかもしれません。
 そんな私なりの「日本人は原住民が好きだった」理由を踏まえて、次回は原住民に魅せられた人々が描いた作品についてご紹介します。

三地門のトンボ玉工房で買った、モダンなネックレス。
私のお気に入りアクセサリーの一つです


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