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2021古民家合宿 11日目 余白


学習を進められなかった中一の少年は、今折り紙に夢中になって、気がつけば机に向かって30分以上も折り紙を折り続けている。
机に長い時間向かっていられない。自分で学習に立ち向かえない。
そんな時、近くにデジタルデバイスがあれば、ひとは息抜きや休憩の度に手を伸ばす。
しかし、ここ奥多摩古民家ではデバイスは基本的に禁止なので、行き詰まった時にできる事が限られる。
庭に飛びだして薪割りや散歩をしても炎天下の中は長居できない。また、周囲の人間も作業をしているので暇を潰す相手も見つからない。
 学習は基本的には自分と向き合う作業なので、その作業が辛かったり苦しかったりすれば当然持続できない。挫けても立ち上がり、黙々と作業を進める事ができる人も中にはいるかもしれないが、ADHDや多動症など、やりたくない事ができないタイプの人は、挫ける度に学習から遠ざかってしまう。
 古民家は家とは違い、学習から逃げても余計な選択肢が少なくなるように環境設定してあるので、机に戻って来やすい。
例え午前中行き詰っても、庭に飛び出して気分転換し、川で遊んで焚き火をすればまたエネルギーが充電される。
エネルギーが循環し、自分が納得のいくまでやり尽くせば、精神的な充足感が少しずつ高まってくる。
 大切なのは、子ども達は思いつく限りをやり過ごして心にゆとりが生まれれば、その余白を埋めるようにして内なるエネルギーが精神を満たし、本当にやりたいことに自然と進んでいくということだ。
 奥多摩生活が終わっても、心の空白を維持していきたい。

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