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【「政府」が借りているのは「政府の負債」であって、「国の借金」でも「日本の借金」でも、ましてや「国民の借金」ではない】

元内閣官房参与で現・京都大学大学院工学研究科教授、藤井聡氏がわかりやすく、詳しく解説しています。

政府の負債

🔷まず、国債残高から確認しておきましょう。

国債残高

2021年6月末のいわゆる「国の借金」は1,224兆円です。
🌟 参考図表 2021年第2四半期の資金循環(速報)https://www.boj.or.jp/statistics/sj/sjexp.pdf

上記サイトの[(図表6-2)国債等の保有者内訳 ①残高]を見ますと、中央銀行=日本銀行の保有割合が半数近くを占めていることがわかります。

同[②前年比]を見れば国債等総額1,224兆円のうち、540兆円(44.1%)は日銀が保有していることがわかりますね。


[(図表6-2)国債等の保有者内訳 ①残高]


「国の借金」ではなく「政府の負債」

藤井氏は次のように述べています。

「国の借金」という表現からして間違いで、正しくは「政府の負債」です。(中略)
マスコミなんかでいわれている「国の借金」とは、国でも国民でもなく、「日本政府の借金」のことなんですよ。
日本銀行の資金循環統計でも、「政府の負債」と書かれています。「政府」が借りているのが「政府の負債」であって、「国の借金」でも「日本の借金」でも、ましてや「国民」の借金でもありません。

『プレジデント』

 

藤井氏が述べていることは上記の<参考図表 2021年第2四半期の資金循環(速報)>の[(図表6-1) 一般政府の金融負債 ①残高]の積み上げグラフで確認できます


[(図表6-1) 一般政府の金融負債 ①残高]


財務省は政府の財布のことだけを考えている

 藤井氏は身近な例を上げて説明しています。

財務省は、政府という一つの組織の金庫番だからです。いわば彼らは、政府という法人の経理部さんなんです。日本国家「全体」のことを考えているのではなくて、単に自分が働く「政府」という組織の財布のことだけを考えている人たちなのです。
要するに、彼らは自分の組織のことだけを考えて、国民や国全体のことなんてな~んにも考えず、新聞社や通信社、テレビ局の記者たちが常駐する財務省内の記者クラブ「財政研究会」を通じて、記者に資料を配り、政府の負債を「国の借金」と呼ばせて、国民感情をあおる。これが、財務省のプロパガンダ、つまり政治的な意図を持つ「宣伝」です

『プレジデント』

 藤井氏は歯に衣着せぬコメントをすることで有名な方なので、眉をひそめるような表現があるかもしれませんが、その点はご了承ください。

 🔶 かれこれ10年以上いやもっと前だったかもしれませんが、大前研一氏は「記者クラブができたために記者は自分の足で取材することをしなくなり、同じソースに基づき記事を書くため、内容はほぼ同じで、結果としてスクープがなくなってきた」というような内容の指摘をしていました。

 

「財政破綻論」は意図的につくられている

 財務省がなぜこのようなことができるのでしょうか?

藤井氏はさらに切り込んでいきます。

一言でいえば、財務省が天下を取っているからです。国会が持っているはずの予算決定権を実際は財務省が握っている。(中略)
国会議員の先生たちはたいてい財務省のいいなりです。さらに、財務省は自分たちに都合のいいことを唱える経済学者を集めています。つまり彼らは財務省のお先棒をかつぐ「御用学者」なんですよ。

プレジデント

 

藤井氏はさらに舌鋒鋭く国民に対しても述べています。

人のいい国民は、「どうにかして借金を減らさないと、日本はめちゃくちゃになる。(中略)消費増税も仕方ないか」と思い込んでしまう。その結果、財務省の「増税路線」に抵抗することができなくなってしまうんですね。そうして、意図的につくり上げられた「財政破綻論」に、多くの国民はまんまとだまされてしまうわけです」

プレジデント

🔶 国民は完全にバカにされているということです。財務官僚は確かに優秀な人たちばかりですから、尊敬されているでしょうが、国民の多数はバカだから自分たちのいいなりになると信じて疑わないのでしょう。

 

日本政府が財政破綻することはあり得ない

 藤井氏の次の言葉は正鵠を射た指摘でしょう。

日本政府は「国債」を発行して、資金を調達しています。(中略)
「借金」なのだから、その返済のときに政府の手元にそれだけのおカネがなかったら、「破綻」しちゃうじゃないか!?とみなさんは普通に考えるのだと思います。
しかし、政府が借りているのがドルやユーロではなく「円」である限り、そんなことは絶対に起こらないのです。なぜなら政府はいつでも、どんなときでも、「円」であるならば、どれだけでも用立てることができるからです!」

プレジデント

 

政府には「通貨発行権」がある

政府には「通貨発行権」があります。その権限を行使すれば、いくらでもおカネをつくり出すことができるのです。

プレジデント

 🔶 おカネをつくり出せば、おカネの価値が下落します。そうするとインフレになります。

私見ですが、30年以上デフレの日本にとっておカネをつくり出すことができれば、インフレにできますが、今カネ余りになっているので、この手段は効果が薄いために実行しないのでしょう。

 

「いくらでもおカネをつくり出すことができる」根拠はどこになるのでしょうか?

 

政府は日本銀行を使ってお金をつくり出すことができる

藤井氏は日銀の凄さを解説しています。

「日本銀行」というのは、普通の銀行と全然違って、「銀行の銀行」ともいわれるように銀行それ自体におカネを貸し付けるというスゴい権限を持っています。何よりスゴいのは、彼らが「おカネを自分で何もないところからつくり出して、そのつくり出したおカネを貸し出す」という行為です。わかりやすくいえば、「お札を刷って貸し出す」ということ。

プレジデント


政府は日本銀行を使ってお金をつくり出せる


さらに詳しく説明しています。

日本銀行は政府の「子会社」

日本銀行という存在は、実は、政府の「子会社」なんです。日本銀行は株式を東京証券取引所に上場しているのですが、株式の55%を保有しているのが日本政府です。しかも日本銀行法という法律の第四条には、政府から完全に独立した振る舞いをしちゃだめだ、ということも明記されています。つまり、政府は子会社の日本銀行を使って貨幣をつくり出すことができる。(中略)簡単にいえば、要するに「政府は、おカネをつくり出すことができる」ということなんです。

プレジデント


日本銀行法 第四条

日本銀行法の第四条は次のように規定されています。

(政府との関係)
第四条 日本銀行は、その行う通貨及び金融の調節が経済政策の一環をなすものであることを踏まえ、それが政府の経済政策の基本方針と整合的なものとなるよう、常に政府と連絡を密にし、十分な意思疎通を図らなければならない。

日本銀行法 第四条


🌟 平成九年法律八十九号日本銀行法
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=409AC0000000089


🌟「財政難なのに10万円バラマキは必要なのか」そう心配する人は”国の借金”に騙されている
https://president.jp/articles/-/52005


➳ 編集後記

この記事を読むまでは、私もまんまと騙されていました。
この記事を読んでもっと日本について学ばなければいけないと実感しました。
政府関係者や高級官僚にとって、国民が「ばか」な方が政策を遂行する上で都合が良いのです。
政策について関心を持たなくてはなりません!



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