【ブラッドベリ1000日チャレンジ】#0027
■短編小説 追い越し/星新一 ジャッジ:○
スポーツカーに乗った男性が、ふと昔の彼女のことを思い出していた。
所謂、イケメンで多くの女性と付き合ってきたのだが、「ずっとあなたのことを見ている」と言って自殺した前の彼女(モデル)の言葉が離れず、今も思いだしていた。
そんなタイミングで前の車を見ると、その彼女に似た女性が座ってる。
え?っとなって、追い越そうとして、追い越しながらその前の車を見ていたら、彼女そっくりだったので、そのまま見ていると、その男性も事故に遭ってしまった。
後で、その抜かされた車の人に事情を確認したところ、マネキンを車に乗せていて、その追い抜いて行った車は、猛スピードでこっちを見ながら追い越して行ったとのこと・・・。
なんと、そのマネキンのモデルは、彼女だったのだ。
■詩・俳句・短歌・歌詞 砂の船/中島みゆきジャッジ:〇
月は波に揺れて 幾百 幾千
古い熱い夢の数だけ
いま 誰もいない夜の海を
砂の船がゆく
夢が消え、愛が逃げていく様を 夜の海に砂の船がきて、溶けていくさまで上手く表現している。
見事な表現というしかない。
■論考 迷いについて/ 森本哲郎ジャッジ:○
ああ、おれの胸には2つのたましいが住んでいる。その二つが折り合うことなく、たがいに相手から離れようとしている
ゲーテ
この1節から始まる。
「人間は努力する限り、迷うもんだ。」という神のつぶやきから、知性と感性(悪と善、情熱と理性)が人の中にはあり、迷いとは、人がこの二つの魂と闘っていることになると表現している。
逆に、迷わぬ人間は、怠惰な人間だと表現し、そういう人は、誰のうちにもある、あの二つの魂に気がつかず、気がついても、それをただ眠らせているから。
そしてゲーテの言うように、誘惑され、その誘惑と争い、それを克服しようとする過程こそが人生にほかならない。迷いこそ人生であり、自分自身の歴史の原動力ではないのか・・・。
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