見出し画像

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022)

人生にはあらゆる可能性があるし、あのときこうしておけば良かったなんて後悔することだってあるけど、あなたが選んで歩んできた今の人生も決して捨てたもんじゃない。今の自分を否定するのではなく、今の自分を抱きしめてあげよう。

…みたいにまとめると、あたかも超素敵な映画みたいに聞こえるんだけど、実際は凄いハチャメチャで、かなり品がなくて、思いついた面白ネタをぎゅう〜っと詰め込んで爆発させたような、勢いで突っ走るダニエル・クワン&ダニエル・シャイナート監督作品「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」。

アジアからアメリカに移民し、コインランドリーを経営しつつなんとか生活してきた主婦のエヴリン。コインランドリーは破産寸前、税金は払えない、父親の介護に、反抗期の娘、優しいだけで頼りにならない夫… 問題だらけの毎日に頭を抱えていたある日、突然、夫の身体に乗り移った"別の宇宙から来た夫"に「全宇宙にカオスをもたらす強大な悪を倒せるのは君だけだ!」と有無を言わさず壮大な使命を背負わされる。

しかも、全宇宙を滅ぼす強大な悪とは、別の宇宙で自分が追い込んでしまった娘だった。エヴリンは、"別の宇宙に存在するさまざまな自分"の能力を引き出しながら、娘との闘いに身を投じる。

移民問題、ジェンダー問題、世代間格差など、世の中にある多種多様な問題をキャラクター設定や舞台設定に取り込んだ上で、人生のあらゆる可能性を"マルチバース"という概念に置き換えて見せる作品作りは実に新鮮で現代的。だけど、終わってみれば、母と娘との親離れ子離れだったり、妻と夫の関係性の修復だったり、そういった実はシンプルな物語である。

ただ、もともとアカデミー賞を獲るような高め狙いで作られたわけじゃなく、スタッフ&キャスト一同みんなで楽しみながら、ヘンテコでめちゃくちゃ面白い映画作っちゃおうぜ!的なノリは、独特なハイテンションの空気感を醸成していると同時に粗野で下品でバカバカしくもあるという、受け止め方によって賛否真っ二つに分かれる結果となって、さもありなん。だけど、最初から大衆受けを狙ったわけじゃないから仕方ないよね。

役者勢は、ミシェル・ヨー、キー・ホイ・クァン、ジェイミー・リー・カーティスにステファニー・スー他みんなマルチバースでさまざまなキャラになって元気いっぱい大活躍。この役者たちの活躍はホントに楽しい! このポイントだけは文句なし!!!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?