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話を聞くって何だろうって話

※スタッフ向けに週一で発信しているメッセージ「ウィークリーカヨコ」をリライト転載してます。

現在私たちの会社では、「相手の価値観や感情を受け入れて、情報収集を通じ信頼感の醸成を目指す」ために「タイワ」というプログラムを実施しています。最近はやりの「1on1ミーティング」というやつなんですが、わが社では「タイワ」と名付けて実施しています。

わが社の場合、昨年10月から毎月一回、数名から10人くらいの単位のグループのリーダーとメンバーが、1対1で業務に関係のない話を15分実施するというルールを設定して、このプログラムを始めました。タイワ前では、一か月を振り返り「よかったこと」「よくなかったこと」「もやもやしたこと」をシートに記入してもらい、そのシートをもとに話をする仕組みになっています。

この「タイワ」なんですが、実施から3か月で効果測定をして、社内アンケートでは一定満足を得ていたのですが、個別に話をしていくとコーチする側、受ける側に「目的が分からない」「効果が感じられない」「負担が増えた」などネガティブな「モヤモヤ」を抱えている人もいるようでした。

そんなことから、やらされ感をなくしてより良い方法を見つけるきっかけになればと思って、こんなメッセージを社内に発信しました。

今日は私が最近見た映画やドラマで、「この人に話を聞いてもらいたい」と感じた話を共有します。ずばり、私がこの人に話聞いてもらいたいって感じたのは「寅さん」です。

皆さんご存じの「男はつらいよ」の主人公のあのフウテンの寅さんです。年始に映画館で観たのですが、寅さんが長く愛される理由の一つが寅さんの「聞き上手さ」にあるような気がしました。

映画の中で、ある女性(泉のママ)が浮気(別居?)をしている旦那さんに夜行列車で会いに行くというシーンがありました。その女性は、寝台車で一緒になった寅さんに、自分の身の上話をはじめます。その時に寅さんが言いました。

「お前さんの話はよくわかるよ。おれはお前さんと同じ経験をしたことはないが、お前さんがそれだけ真剣に話を聞いてほしいと思っていることが、よく分かるよ」(←だいぶ意訳しているので間違っていたらごめんなさい)

こんな風に、寅さんは女性に相槌を打ちました。

このシーンの中で、寅さんは特に具体的なアドバイスをしているわけではないのですが、不思議とその女性が励まされ、自分自身で何か答えに近づいている、そんな印象を受けました。

観ている私自身「寅さん聞いてくれてありがとう!」「なんか元気出た」みたいな気分になったんですよね。

これってもしかしたら「男女の性差」や「話す内容」にもよるかもしれませんが、誰かに受け止めてもらっただけで気持ちがすっきりすることってよくあるような気がするんですよね。

話を聞く側は決して話す側と同じ経験をしてなくてもよくて、それよりも、その人が経験してきたこと、疑問に感じていること、訴えたいことをいったん受け止め、感情をくみ取りってもらい、共感してもらうことで、信頼感が生まれると同時に、自己の肯定感を得て、自分自身で問題解決の糸口を見つけていくという現象が起こっているような気がしました。

家庭でも、仕事場でも、他人同士が一緒に生活する場合に、必ずしも同じ経験はできないし、話を聞くときに相手が望む具体的な答えを持っているとは限りません。それでも人は誰かに話を聞いてもらいたい気持ちになるのは、こういう効果があるからかもしれません。

一方で、もしコミュニケーションでぎくしゃくするときは、話を聞いているつもりで実は自分の価値観や答えを押し付けていたり、違いを理解できないと拒絶している時なのかもしれないですね。

皆さんにもこの人に話を聞いてもらいたいっていう登場人物いますか?もしいたら理由と一緒に、私に教えてもらえたらうれしいです。

という感じで締めくくりました。

その後この話について、何人かと話をする機会がありました。

例えば、寅さんと女性の対話は1対1ですが、その効用としては「オープンダイアローグ」に近いと感じました。こういったダイアローグをビジネスアイデア創出のために活用するのは難しいですが、疲れた心には効きそうだなと思いました。
※オープンダイアローグ参照
https://www.amazon.co.jp/dp/4260039563/

話を聞くテクニックよりも、実は本当に話を聞こうとしてくれているのか、本心からの寄り添う姿勢も大切で、それがないといくら小手先のテクニックを学んでもその場は無意味なものになる気がします。

こんな感想もありました。

他人同士が平安伸銅に集まり、一つの目的のためにどう支えたり、励ましたり、刺激を与えたりできるか、これからもあり方を探し続けたいなと思います。

※トップの画像は、柴又帝釈天へ霊地巡礼した時に買った寅さんお守りです。左は寅さんではなく藤田嗣治画伯です。

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