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乃木坂46 10thバースデーライブ ~表題曲の歴史~

はじめに

10thバースデーライブ、両日参戦してきました。両日ともに素晴らしいライブでした。バースデーライブらしく、時系列で表題曲も振り返りましたので、これをきっかけに表題曲の歴史について考察してみたいと思います。

2012年デビューから2016年まで

フレンチポップ(初期3部作)

乃木坂46はコンセプトがないのがコンセプトだと言われたり、劇団を標ぼうしていたりと話はありましたが、やはり、リセエンヌ(フランスの女子学生)でしょうか。秋元先生は当て書きの天才ですし、メンバーなどから受けたヒントをもとにしたりしますが、メンバーからリセエンヌのインスピレーションを受けたというよりは、秋元先生から与えたイメージだったように感じます。

ぐるぐるカーテンおいでシャンプー走れ!Bicycle の初期3部作は、今でも乃木坂を代表する楽曲だと思います。ダンスも特徴的で、おいでシャンプーでメンバーみんながくっついて踊る芋虫ダンスは、乃木坂46の特徴の一つであるメンバーの中の良さにつながっていると感じます。特に私が好きなのは、大きな会場で選抜・アンダー全員で横一列に並んで踊る時です。もちろん序列はあるにはありますが、前列も後列もなく全員が横一列で、みんなで乃木坂と感じられるのが好きです。

フランスを感じられるのは、おいでシャンプーならフレンチカンカン スタイルのダンス、フレンチポップ「アイドルを探せ」を引用している間奏、走れ!Bicycle ならMVでしょうか。

初めての乃木坂らしさ

初期3部作に続いて、つづく制服のマネキン君の名は希望は、転換点でもあり、その後の乃木坂46の方向性を打ち出しました。秋元先生から与えられたイメージではなく、秋元先生が乃木坂46メンバーに向けた、あるいは歌わせたい、メンバーへの当て書きです。

生駒里奈のカッコよさ・主人公感を前面に出し、大人への反発と若さの真っ直ぐさを歌った制服のマネキン、その笑わないクールなパフォーマンスとシンプルなセーラー服衣装は、当時のアイドルとは確実に差別化されたものでした。

そして、生駒里奈への当て書きであると卒コンで明かされた、内省的であり、青春の闇と光を表現し、乃木坂の幹となった君の名は希望です。当時のメンバーが神曲が来たと言っていたそうです。私自身、乃木坂46SHOWでのパフォーマンスを見て衝撃を受け、ファンになったきっかけの曲です。自分を見つめる、他者の痛みを感じ寄り添うなどの乃木坂らしさのひとつになったのではないでしょうか。

また、最近のインタビューなどで、これらの楽曲を提供することで新たな方向性を提案した杉山勝彦さんの存在も大きいです。

昭和レトロ歌謡、キレイ、清楚、儚さ

6枚目からはセンターが固定でなくなりました。ガールズルールではリセエンヌとは少し違いますが、女子学生目線の曲であり、ぐるぐるカーテンに通ずるものでした。御三家をフロントに出し、キレイな乃木坂へのきっかけだったでしょうか。

楽曲としては、どちらも新センターを抜擢したバレッタ気づいたら片想いの昭和レトロ歌謡感がより新しいチャレンジだったと思います。

バレッタでは2期生 堀未央奈を抜擢し、センターを白石麻衣と橋本奈々未で挟むという黄金パターンができたように思います。これは、カワイイからキレイ・清楚な乃木坂への転換となりました。

そして気づいたら片想いでは、新センター 西野七瀬を抜擢し、楽曲の切なさとMVにより、乃木坂らしさに西野七瀬の持つ儚さをプラスすることができました。乃木坂46の儚さというのは、ほぼイコールで西野七瀬だったように思います。また、この曲で一般人気、特に女性ファンの獲得のきっかけになりました。

若者への応援とメッセージ

次の夏の Free & Easy はライブでも盛り上がる夏曲ですが、その内容は若者への応援です。そして、何度目の青空か?からは、よりメッセージ性の強い楽曲が増えていきます。聞き手によっては説教臭いと言われることもありますが、これらのメッセージは歌詞をよく読むと実際には若者向けだけではなく、青春時代を振り返る大人向けにもなっています。

生きる意味を自分の中で問う命は美しい、若者に対して他者目線で応援する太陽ノックなどが続きます。生きることの苦悩、そして希望を伝える乃木坂らしい楽曲たちです。命は美しいではカッコいいダンスというチャレンジもありました。

第1章の集大成と卒業

2015年神宮で行われたライブは今でも伝説とされ、乃木坂46第1章の頂点に達したとも言われます。生駒里奈のオープニング煽り、乃木坂らしさを問うた企画、オーケストラ・生田絵梨花ピアノでの合唱、生田絵梨花の涙、ライブ最終日前夜に発表された選抜メンバーによる 今、話したい誰かがいるの初披露、初めてのダブルアンコール、桜井玲香のスピーチなど。

今、話したい誰かがいるは歌詞もパフォーマンスも乃木坂らしい、乃木坂を代表する曲のひとつではないでしょうか。ここで、その後の乃木坂を背負う西野七瀬と白石麻衣のWセンターを披露しました。西野七瀬が卒業するまで、この2人が乃木坂を引っ張っていくという形が作られました。また、将来を担う齋藤飛鳥が2015年の1年を通して選抜に選ばれ、初の福神に選ばれたのもポイントです。

2015年の年末には紅白歌合戦初出場、そして2016年の初めには主力メンバーでは初となる深川麻衣の卒業がありました。ハルジオンが咲く頃は卒業するメンバー当て書きの初めての卒業曲です。卒業する深川麻衣をそのまま歌詞にしたような乃木坂のやさしさを表現する素晴らしい曲です。

そして、橋本奈々未の卒業にあたり、サヨナラの意味がリリースされます。こちらの楽曲では、直球で別れを扱い、乃木坂の強さ・やさしさ・切なさを表現した第1章の集大成になっています。高架線での電車の通過音など、制服のマネキンで使われたモチーフとの共通点もいいですね。

また、主要メンバーの卒業曲に挟まれ、真夏の全国ツアーの座長・次世代エースに抜擢された齋藤飛鳥の初のセンター裸足でSUMMERも見逃せません。若いエースをセンターにしたことで、淡い恋を歌うことができました。

こうして、2012~2016年を乃木坂46の第1章と考えることができると思います。奇しくも、10thバースデーライブ Day 1と同じです。

2017年から2020年まで

カッコいい、美しい乃木坂

2017年から、また乃木坂は新たなチャレンジをします。インフルエンサーは、有名になった乃木坂46メンバーとファンの関係をモチーフに書かれた乃木坂46にカッコいいをプラスする曲でした。特に新たな振付師 Seishiroさんによるダンスはカッコいい・美しいという新たな乃木坂らしさになりました。これにより、レコード大賞受賞という AKB48の公式ライバルとして、ひとつの結果を出したということになります。

そして、翌2018年のシンクロニシティ、楽曲は他者の痛みに寄り添う乃木坂王道ですが、そのパフォーマンスは美しい乃木坂の代表曲となりました。また、レコード大賞2年連続受賞により、名実ともに AKB48に追いついたとも言えるでしょう。

次世代の育成

第2章では新しい乃木坂らしさをプラスすると同時に次世代の育成にも力を入れます。

3期生ふたりをセンターに抜擢し、大園・与田それぞれに白石と西野をつけた逃げ水は若手を抜擢してはいますが、楽曲は若者主人公というより、大人の歌でした。ただ、夏曲でも明るい夏曲ではなく、過ぎ去る夏を惜しむ切ない夏曲なのが乃木坂らしいところです。

いつかできるから今日できるは、若手エースの両サイドを西野・白石で挟むのではなく、3人目のエースとして確立すべく、齋藤飛鳥を西野と組ませました。楽曲は青春部活もの映画の主題歌ということもありますが、若者へのメッセージ曲となっています。

翌年の夏曲、ジコチューで行こうでは2度目の齋藤飛鳥単独センターとなりました。こちらは乃木坂楽曲によくあるパターンで、若者が主人公として描かれていますが、途中からは大人からのメッセージになります。

4期3人をセンター・フロントに抜擢した夜明けまで強がらなくてもいいは、乃木坂らしさもありつつ、より若いメンバーへの当て書きとなりました。個人的には、この楽曲のような「夜に悩む」みたいな乃木坂の夜曲が好きです。

エースたちの卒業

2018年には初期のエースである生駒里奈の卒業があり、年末には、帰り道は遠回りしたくなるで、乃木坂の最強エースのひとりであった西野七瀬が卒業します。乃木坂らしい儚さ、弱さ、強さを表現する素晴らしい楽曲です。しかし、それらの乃木坂らしさは西野七瀬とともに卒業してしまったようにも感じます。

Sing Out! は2017年インフルエンサー、2018年シンクロニシティに続く Seishiroさん振付の初期3部作となります。3年連続レコード大賞とはなりませんでしたが、それに挑む意欲ある名曲だったと思います。また、カワイイ・明るい夏曲2曲の単独センターだった齋藤飛鳥が風格を備えてセンターに立ちました。この3部作で乃木坂46のひとつの到達点を見たような気がします。

そして、2020年、しあわせの保護色で白石麻衣が卒業します。

そして現在、2021年~

齋藤飛鳥が絶対的エースとなった今、次のエースたちを育成しています。

1年ぶりとなったシングルは乃木坂46王道の歌詞と杉山さん曲である僕は僕を好きになる、連続して杉山さん曲であるものの新たな一面となったごめんねFingers crossed、そして I see…でモンスター曲を生み出した youth caseさんによる君に叱られたと新センターを抜擢していきます。

そして、いつもよりも早いタイミングでの5期生からの新センター大抜擢となったActually…です。この曲は具体的で映像を描くことが多い乃木坂の楽曲とは違い、抽象的で詩的な楽曲をチャレンジしています。初の5期生曲、絶望の一秒前も同様なので、これが新しいチャレンジ、あるいは5期生から感じ取られているものなのかもしれません。

おわりに

さて、30枚目シングルはどうなるでしょうか? こちらはまた別途予想してみたいと思いますが、色々と今までとイレギュラーの状態なので、予想も難しいですね。

いずれにせよ、気づいたらメンバーの顔触れも変わり、新しいメンバーも入り、新しい乃木坂らしさが生まれていくことを期待しています。

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