見出し画像

タケトピ徒然草 no.103

緩和ケアに移行して1日目、特に意識しているつもりはないけど、治療するという意識は今よりいい状態にするということが目標になり、緩和という意識は今より楽になるという状態を目標に置くようだ。たいして変わらない気がしていたが、たった1日にしてこの二つには大きな違いがあると実感した。

ある意味諦め。治る事はないという事実を受け入れることは、わかっているつもりではいるがけっこう難しい。ただ、食べられないとか、歩けなくなるとか、治療を念頭においている時は怖くて仕方なかったが、ひたすら痛みを和らげることに集中するなら歩かなくていいし食べなくてもいい。やりたい事だけにして、耐えられないなら痛み止め強くして寝ればいい。ここまで居直ると、あーこんなんでもいいかなって思える。

そして今日一日テレビを見て寝た。とここに書くつもりでいたが、夕方、少し楽になった気がするので最後のあみ図を描こうとPCに向かった。

トイレに行こうと思って立ち上がると、座布団が濡れている。ストマから漏れたのかと触ってみると尋常じゃない量の水が出ている。臭いもなく、床にもポタポタ滴が垂れているから、点滴が漏れたのかと思ったがストマがドンドン膨れ上がる。
慌ててお風呂場に行き点滴を外し、ストマを見ると更に大きくなっていて破裂寸前。痛くも痒くもないがパニック状態で、とりあえずお風呂に液を流しシャワーを浴びてストマを付け替えた。

ここ3日は腹水が溜まって食べられず、起き上がることもままならず、ひたすら圧に耐える日々を過ごしていた。そのお腹の圧がない。待て待て、これもしかして腹水出たの?

素人考えでは確かに隙間あれば出そう。痛くも痒くもないし、めっちゃ楽になっている。本人的にはラッキーとしか言いようがないが、もしダメなやつだといけないから病院に行こうということになった。

救急外来で診てもらう。トリアージの看護士さんも、腹水がストマから出るというのは聞いたことがないとちょっと笑っている。先生に診てもらうが、先生も聞いたことはないが可能性はあるから外科の先生に聞いてみますと。そしてCTをとって、腹水がほとんど消えている事実から漏れたのは腹水だという結論に至った。

術後、回復力がなさすぎて縫っても穴が塞がらず苦労していたが、どうやらストマの隙間も上手く埋まらなかったらしい。感染のリスクもあるが、病状を考えるとどのリスクも高く、治すという行為自体がリスクと隣り合わせなので現状維持が一番だろうという結論に至った。

もしこれで穴を塞ぐために手術とかいう話になったらエンドレスの入院生活が始まっていたが、そうはならなかった。病巣が散らばっていて、抜くことが難しいので、もうあとは痛みを取るだけしかできないと言われていた腹水が、治りが悪いゆえにできている隙間から出るという、幸か不幸かわからない奇跡がおきた。

なんであろうと、誰も聞いたことない奇跡が起きた。これはもう絶対間違いなく神様がくれた猶予期間だろう。もう少し頑張ってやるべきことがあると背中を押してくれている。そう思ってもう一走りしよう。一日を大切に大切に。

いつも応援してくれるみんなのおかげです。ほんとにありがとう。
少し起きていられる時間ができました。
精一杯できることをしようと思います。

みんなの毎日も幸せでありますように

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?